西暦二千五年の夏、一言じゃ決していえない、人知を超えた力を借りて、俺は時空を超えた。

その先である、この村で、あいつを見つけた。

俺がこの場に現れた時、驚く蘭華の隣に、一人の少年がいた。
16~17歳くらいだろうか。
不安げな眼差しで俺と蘭華を見比べていた。


それが、弦月だった。


俺は、居候として奴の棲家を根城にした。
弦月が、俺が蘭華を連れて帰ることを恐れていたのは手に取るように解った。
一目見て気がついた。


弦月の蘭華を見る目。
俺らが共に居た頃の仲間と同じ眼差し。
他にも幾人かの友人を紹介された。
結局そうだ。
いつの時代でも、何処へ行こうが、あいつの周りには人が集まる。


(帰って来ねぇわけだ。)


「アニキ!」弦月 と弦月が呼ぶ。


―――アニキ。


誰かに似てると思えば、劉だ。
話す言葉も、背格好も違うが、あいつを慕う姿は全く一緒だ。
此処でも、ちゃっかり居場所を作っていやがる。


「おい、俺も此処に棲むぜ」神威


そういった時のあいつの顔。
驚いたような、そうなることを始めから解っていたとでも言うような、いつもの読めない微笑を返していた。