「俺を見ろ、綾香」
その言葉に私は渋々山崎を見つめた。
「今こうして君を見つめているのは、復讐などと誓った昔の俺じゃない。一人の男して綾香を見ている」
初めてその目に見つめられた時、
とても緊張した事を今でも覚えている。
冷たい目で私を見下ろして、
その鋭い視線が獲物を狙う獣のようにさえ感じた。
あれから一年過ぎて、
私は自然と山崎を好きになってしまった。
たとえそれが、
仕組まれた罠だとしても―。
「また…私を騙すんですか?」
「…」
何かに脅えたような目で見つめる私に、
山崎は黙ったままだ。
「俺を…信じられないか?」
息がかかりそうなぐらい互いの顔が近くにあり、
山崎の眼鏡のレンズには、
不安げな私の顔が写っている。
「なら、どうしたら俺を信用してくれる。君を奪ってすみませんでしたと言って、父親に頭を下げればいいのか?それとも…―」
「―もう一度言って下さい」
私は山崎の言葉を遮るように言った。
そして、
真っ直ぐ自分の意思で山崎を見つめる。