私たちはごくごく当たり前に、四元素を使って生きています。
こんなことがあります。
少し想像してみてください。
◇◇◇
初秋のある日、あなたは友人と会う約束をしています。待ち合わせ時間から逆算して電車に乗り、目的地に向かいます。
電車に乗ると、席が空いていなかったので、乗車口近くの、円柱の手摺りに寄りかかることにしました。スマホをいじったり、窓から見える風景を眺めたり、手持ち無沙汰に中吊りを眺めたりします。
その時、ある広告が目に止まりました。
(あぁ、北海道かぁ。)
とあなたは思います。
その広告は、とある雑誌の北海道特集号のもので、時計台や五稜郭、富良野のラベンダー畑などの北海道の人気エリアと、具材が溢れんばかりの海鮮丼、コーンたっぷりの味噌ラーメン、絞り立て生乳のソフトクリームなど、ご当地グルメが目を引くようにレイアウトされています。それらを眺めていると、心の中にふわっとした空間が広がってきました。しかし、すぐに別のことを考え始めたので、その時はそれで終わってしまいました。
そうこうしているうちに、友人との待ち合わせ場所に到着します。
待ち合わせ場所に到着したあなたは、友人と近くのカフェテリアに入ります。席に座った途端に友人が、そういえばこの間北海道に行ってね、などと言い、ロイズのチョコレートをくれました。
あなたは、
「いいねー、北海道!どうだった?」
と尋ねます。頭の片隅には、先ほど電車の中で見た、北海道特集の広告が浮かんでいます。
会話は大いに盛り上がり、あっという間にお開きの時間に。とても良い気分で帰宅しました。しかしこの時点ではまだ、北海道という言葉が数回自分の目の前に現れていることに、あなたはそこまで気を留めてはいません。
それから数日後、そろそろどこか旅行に行きたいなぁと思いながら雑誌を開きました。そこには、冬こそ行きたい!北海道というフレーズと共に、北海道旅行の特集がされています。
ついにあなたはピンときて、
(冬の北海道…いいかもしれないな)
と思います。
あなたの中で、ここ数日の'北海道'にまつわる出来事がまざまざと思い出されます。
◇◇◇
これが火のエネルギーで表される神の意志が、風の世界に移ってくるときに起こることです。
四元素の風は、インスピレーションを表しています。しかしインスピレーションとは、実際には言葉で受け取るもののことだけを指しているのではないようです。
例えば、画廊に飾られていたとある絵を見て「ガーン」という衝撃を受けた。これも、ひとつのインスピレーションの形です。
またあるいは、最近黄色い服ばかりを選んでいるな、というところから向日葵というキーワードに気付くこともあります。
ですので、四元素の風というのは、文字で表される言葉だけではなく、感覚を通してやってくる情報を表しています。
このような形で私たちは日常的に、火である'神の意志'を風という'インスピレーション'で受け取っているのです。