六話 後編①
――葉side――
ああ、涙が・・・駄目だ。
泣いちゃ駄目なのに・・・・・まさか、よりによって『櫻 甲斐』だなんて。
怖い、視線が痛い。目が怖いぃぃぃ。
「お茶・・・」
「ハイィ!!」やばい、こ、声が・・・・・
・・・・って、笑ってる。先輩笑ってる。先輩って笑うと、普通の人にしか見えないな。
「・・・お茶、淹れたから飲め」
「有難うございます」
良い人だ。こんな僕に、こんなにおいしいお茶を淹れてくれるなんて・・・。
本当は、良い人なんじゃないかな。
「ふぅ~お茶、おいしいです。」
「それは、良かった。お前、緊張してただろ。だから落ち着かせようと思ってな・・・」
良い人だ、この人確実に、良い人だ!
良い人に決まってる!!!
「すいません、こんな僕なんかに気を遣わせてしまって・・・」
ああ、こんな人になれたらな・・・・僕も、頑張らないと。
「恐縮するな、この学園にいるという事だけで凄いことなんだ。」
僕なんて、選ばれただけだし。勉強もそこそこだし。
何かが人より秀でている事もないし・・・・。
「・・・・僕は招待枠なんです。」
「・・・・・招待枠か、それなら尚更だ。」
「?」
「招待枠は学園長が直々に選ぶ、毎年人数は違うが・・・今年は三人しか居なかったがな。お前はその中の一人だ。胸を張ったほうが良いぞ。」
「さ、さささささささ三人ですか!?」
僕が、僕なんかがそんな・・・・。落ち込んでいると先輩が、
「俺のときは、俺一人だったから三人ならマシだろ。」
一人なら確かに嫌だな、って、
「先輩も招待枠なんですか?」
「そうに決まってるだろ、じゃなかったらこんな所、死んでも来ねぇよ。」
死んでも・・・って事はそんなに嫌なのかな。
とにかく、今日分かった事は、櫻先輩が凄く良い人だって事と、招待枠は『特別』
って事だった。
あと、先輩が最後に
『苛められたら、俺に言えよ。』
その後、先輩の作った焼きそばをいただいた。凄く、おいしかった。
・・・・・僕のお母さんより、お母さんみたいな人だ。
先輩とも仲良くなれたし、良かったな。この調子でいろんな人と仲良くなりたいな・・・。