古い映画を見る31「昭和やくざ系図 長崎の顔」渡哲也 安藤昇 嵐寛寿郎 益田ひろ子 高城淳一 | ふらふら埋蔵さん日録

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息抜きで駄文綴ってマスよ?


 渡哲也さんと安藤昇が競演する異色のヤクザもの。
 長崎の高間組二代目組長は、子分千人と言われた一大勢力を誇っていたが、昭和20年8月9日の原爆爆心地の真横に居住していたため、4歳になる長男を防空壕に避難させた後、死亡。以後、二代目と兄弟分の親分を持つ嵐寛寿郎が高間組を守ってきた。
 三代目の渡さんが成人したら高間組の跡目をと思っていた矢先、大学在学中の三代目は喧嘩の末チンピラを刺して懲役となってしまう。
 その三代目が出所して来る頃には青木義朗が率いる松井組が長崎の興行権を仕切っており、三代目襲名披露の興行も思うように打てない状況であった。
 松井の下には、後の大都会や西部警察で渡さんの上司の頼りない係長を演じる高城淳一さんがキャスティングされているのも面白い。
 松井組にわらじを脱ぐ安藤昇だが、だんだんと渡哲也にシンパシーを感じるようになり、結局三代目を殺せずに旅に出る。
 子分の郷鍈治らはおろか、嵐寛寿郎まで殺された三代目は松井組に殴り込みをかけ、殺戮の限りを尽くす。浴槽にはまったまま息絶える青木さんは苦しかったんじゃなかろうか?
 自首するべく警察に足を向けると、益田ひろ子が涙をこらえて無言で立っている。
 …そして、無期懲役の判決を受けた三代目は、原爆症のため昭和44年8月9日、獄中で死亡する。
 何と、渡さんは「愛と死の記録」に続いて2度目の原爆症による死を演じたのであった。そして、その日付は長崎の原爆投下の日…が、実際の渡さんの命日はその一日後の8月10日。
 …なんとも不思議な気分になった。ちなみに私の誕生日は8月10日である。
 所蔵スチール2枚。

監督 野村孝 脚本 池上金男
日活作品 1969年公開 カラー94分 
発売元 日活株式会社 販売 株式会社ハピネット・メディアマーケティング
HPBNー162