ふらふら埋蔵さん日録

ふらふら埋蔵さん日録

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 渡哲也さんと安藤昇が競演する異色のヤクザもの。
 長崎の高間組二代目組長は、子分千人と言われた一大勢力を誇っていたが、昭和20年8月9日の原爆爆心地の真横に居住していたため、4歳になる長男を防空壕に避難させた後、死亡。以後、二代目と兄弟分の親分を持つ嵐寛寿郎が高間組を守ってきた。
 三代目の渡さんが成人したら高間組の跡目をと思っていた矢先、大学在学中の三代目は喧嘩の末チンピラを刺して懲役となってしまう。
 その三代目が出所して来る頃には青木義朗が率いる松井組が長崎の興行権を仕切っており、三代目襲名披露の興行も思うように打てない状況であった。
 松井の下には、後の大都会や西部警察で渡さんの上司の頼りない係長を演じる高城淳一さんがキャスティングされているのも面白い。
 松井組にわらじを脱ぐ安藤昇だが、だんだんと渡哲也にシンパシーを感じるようになり、結局三代目を殺せずに旅に出る。
 子分の郷鍈治らはおろか、嵐寛寿郎まで殺された三代目は松井組に殴り込みをかけ、殺戮の限りを尽くす。浴槽にはまったまま息絶える青木さんは苦しかったんじゃなかろうか?
 自首するべく警察に足を向けると、益田ひろ子が涙をこらえて無言で立っている。
 …そして、無期懲役の判決を受けた三代目は、原爆症のため昭和44年8月9日、獄中で死亡する。
 何と、渡さんは「愛と死の記録」に続いて2度目の原爆症による死を演じたのであった。そして、その日付は長崎の原爆投下の日…が、実際の渡さんの命日はその一日後の8月10日。
 …なんとも不思議な気分になった。ちなみに私の誕生日は8月10日である。
 所蔵スチール2枚。

監督 野村孝 脚本 池上金男
日活作品 1969年公開 カラー94分 
発売元 日活株式会社 販売 株式会社ハピネット・メディアマーケティング
HPBNー162

 ストーリーは、親友が日本の密輸組織にさらわれた主人公が、香港から東京にいる姉を頼って来日。実はその姉が麻薬組織のボスの情婦で、組織は麻薬漬けにした女性たちの臀部に手術で宝石を埋め込んで密輸しているという設定で、奇をてらいすぎている感は否めない。  
 組織のボスは室田日出男で、宝石を取り出すオペをする飲んだくれの医師は山本昌平。山本は顔をコーヒーに近い茶色に塗り上げてルリコンゴウインコを肩にとまらせたりと、往年の日活無国籍アクションものの小沢昭一か西村晃を思わせる異国情緒たっぷり。
 室田が経営する大曽根トレーニングジムは悪のアジトで全国の選りすぐりの武道家が集められている。物語に最後まで強敵として立ち塞がるのは石橋雅史を長男とする本位田三兄弟で、末弟はその後忍者キャプターの水忍を演じた琳大興。そのほかにも志穂美悦子に瞬殺される殺し屋が続々出てくるのだが、そのたびに物々しいテロップが出てくるのが逆に笑える。
 例えばこんな風に・・・

 この方はたまたま知っている方だったので、写真を見てもらって確認したところ「これは俺じゃないよ!」とまさかの否定。いや、上半身裸で坊主頭の殺し屋って他にやれる人いないでしょ?…確かにタイトルバックでは「刈谷俊介」と誤字で表記されてはいたけれど…。しばらく写真を眺めて「…あ、俺だ。」と記憶が甦ったようでしたが。…それにしてもモンゴル天空剣ってどんな武道なんでしょう?ちなみに志穂美さんの跳び蹴りを食らった後、二度ほど踏みにじられます。

 当然のことながらJAC=ジャパンアクションクラブの面々が大挙して参加。高橋利道や大場健二がチンピラ役でちょいちょい出てくるのを見つけるのも楽しい。

 組織に腕を売り込みに来た倉田保昭が、冒頭で殺された刑事の弟で、志穂美悦子との共闘の末組織を壊滅させるのはお約束の展開。

 ストーリーは単純、音楽は仮面ライダーの菊池俊輔、見せ場はJACのアクション。特撮ヒーローものと異なるのは猟奇性とお色気が適度に混ぜ込んであることぐらい。

 まぁ、気楽にキング・へシウスを楽しむ事にします。


 …えっと、ロビーカード5枚ぐらい持ってると思いますが、「危機一髪 女必殺拳」と逆の表記なのが気になりますね。


 ちなみに後年の里見八犬伝では志穂美さん、苅谷さん、大場さん、いずれも八犬士で登場します。



監督 山口和彦 脚本 鈴木則文/掛札昌裕 東映作品 1974年公開 カラー85分
販売 東映株式会社 発売 東映ビデオ株式会社 DSTD02531

 大映の大魔神スタッフが制作した妖怪ブームの火付け役的映画。
 三年前、美濃国に向かう途中に土転びに襲われる浜村純の話から始まるが、浜村は小さな祠の宮守であった。
 この祠と隣接する長屋の持ち主甚兵衛は、亡き妻の薬代として但馬屋に30両の借りがあった。但馬屋はこの土地を岡場所にしようと画策し、寺社奉行の堀田豊前守と結託してやくざの重助=吉田義夫を使って立ち退きを迫る。
 抵抗する浜村純はやくざにぼこぼこにされ、あえなく死亡。血気盛んな大工の平泉征もなすすべ無し。
 長屋には流れ者の素浪人で藤巻潤が逗留しており、但馬屋が催した百物語の会で30両をくすねてくる。この会で但馬屋は百物語を終えた後のまじないを敢えて行わず、金を配って終了としたのだった。
 ちなみに、この会では、「おいてけ堀」と「ろくろ首」にまつわる話が林家正蔵によって語られ映像化されている。
 藤巻がくすねてきた30両で借金を返そうとした甚兵衛は、案の定惨殺されてしまう。
 但馬屋が岡場所建設のため、手始めに社殿を破壊し始めると、人夫がのっぺらぼうになるなどの怪異が次々と起こる。そして妖怪の報復が始まり、但馬屋と重助は大首に翻弄され錯乱して互いを刺して果てる。
 死んだはずの但馬屋と重助の姿を借りた妖怪は、堀田豊前守の屋敷を訪れ、正体を現して豊前を錯乱させる。実は幕府の目付役の役人であった藤巻はこのどさくさで豊前守と但馬屋の悪事の証拠となる書類を手にし、豊前に迫ると精神的に追い込まれていた豊前はあっけなく自害。
 やがて、早桶を担いだ妖怪たちが豊前の屋敷から練り歩きながら出てきて闇に消える。百鬼夜行だ。
 翌朝、但馬屋の死体の前で悲しみに暮れる、ちょっと残念な但馬屋の息子ルーキー新一らの姿を見て、藤巻は「この世には人知で計れぬことがある」と、どうとでもとれる台詞を残して「完」。
 祠と妖怪たちとの関係がもっと描かれるとよかったと思うけど、まぁ、良いでしょう。
 ある意味先駆的な作品で、私が子供の頃の妖怪事典にはこの映画の写真が使われていたし、油すましなどは復刻だったと思うがプラモデルもあった。懐かしい話だ。
 現代は妖怪でないものだって理解が全くできない。いっそ理解しやすい妖怪の方が好感が持てるのかもしれない。

監督 安田公義 脚本 吉田哲郎  1968年 大映京都作品 カラー79分
発売 角川映画株式会社 販売 角川エンタテイメント DABA-0180

*8月に4K修復版が出るらしい。