「ブラボー!ブラボー!」
片言英語を交えるスーツ姿の女性が校門を出た優子へ拍手をしながら近づいてくる
「なんだ、あんた」
「オー!ソーリーソーリー!」
怪しげな目で睨む優子へ姿勢を整える
「ワタクシは私立馬路須加女学園のヘッドティーチャー、校長を務めています。野島と申します」
そう言って名刺を渡す
「馬路須加女学園?あのマジ女の校長がどうしてここに?」
名刺を渡された優子が聞く
「それは、ミス大島。アナタをスカウトしに来たのです」
「スカウト?」
「そうです。マジ女は今、非常にピンチ、危機的状況に陥っているのです」
野島は話を続ける
「校内のパブリックモラル、風紀はてっぺんである吹奏楽部、通称ラッパッパが仕切っています。しかし、現在はもう一つのパワー、勢力として風紀委員会というものがエスタブリッシュ、設立され、その風紀委員会がラッパッパとコンフリクトして校内は荒れてしまっています」
「ワタクシはこの状況をとても良くは思ってはいません。なので、来年から入学するフレッシュな学生にこの二つの勢力を倒して頂きたく、このようにスカウトをしているのです」
野島は優子の手を握る
「是非ともミス大島、アナタにマジ女に来て欲しいのです」
「お、おう」
あまりの気迫にたじろぐ
「まぁ、マジ女はここらでは有名なヤンキー校だしな。私も入ろうとは思ってたし、その役目受けてやるよ」
「オー!ホントですか!サンキュー、ありがとう」
「では、入学式でお会いしましょう」
そう言って野島は早々に帰ってしまった
「なんだったんだよ、あの人」
あまりにも唐突すぎて呆然とするしかなかった
「これで5人目ですね。あとは入学式を待つだけです」
"大島優子"と書かれた名簿を見ながら野島が呟いた