『農林水産予算のポイント(その4)』 | まいたち昇冶オフィシャルブログ Powered by Ameba

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『まいたち昇治の活動報告』 第6回

 今回は、農林水産予算の最後、水産予算の主なポイントについて、2回に分けて説明します。

● 水産日本の復活を目指して

我が国の水産業は、燃油や資材の高騰、魚価の低迷、漁業者の減少・高齢化など、農林業と同様、長年厳しい状況が続いています。一方で、海外を見渡すと、水産業は成長産業として、現在もその途上にあります。
水産物の消費量は、世界的な健康志向の高まりや、日本食ブームを反映して増加を続け、漁船の建造面でも、中国などの新興国は新鋭船を大量に建造し、積極的に沖合から遠洋まで漁業活動を展開しています。
一方、日本では水産物消費量は、一人あたり年間28.6㎏(平成23年)で、10年前の40.2㎏より3割も減っています。また、船齢20年超の漁船がここ3年間で42%から56%(平成24年)へ増加し、漁船の高船齢化が急速に進んでいます。
日本としても、水産物の消費拡大や、漁船の更新等に取り組むとともに、海外の成長機会を活かし、水産日本の復活を目指す必要がありますし、その能力は十分にあると思います。
水産庁としても、平成26年度当初予算において、水産関係予算の増額を実現(H25:1,931億円→H26:1,939億円)し、積極的に施策展開を図っています。

● 漁業を担う人材の確保

水産日本の復活に向けて、まず取り組むべき課題は漁業者の減少・高齢化対策です。漁業就業者は10年間で2割減少し、約20万人にまで減っています。しかも、65歳以上が約4割を占めます。
そこで、水産庁は毎年度2,000人の新規就業者を確保する目標を掲げ、以下のような担い手確保対策(H25補正:2.6億円、H26当初:6.1億円)を用意しました。

①「新規就業者総合支援事業」
・経験ゼロからでも漁業に就けるトータルサポートを提供する事業です。
・就業希望者むけの講習や体験漁業、そして漁業者を紹介する就業相談会が開催されます。研修先の漁業者が決まると、漁船に乗り込む実践的な長期研修が実施され、その後、漁業活動に必要な技術や経理・税務、流通・加工、安全操業等の習得支援も実施されます。
・さらに、漁業学校等で学ぶ研修生に対しては、「青年就業準備給付金」が年間150万円、最長2年間給付されます。

②「沿岸漁業リーダー・女性育成支援事業」
・漁村のリーダーや女性むけの研修等、あるいは漁村のリーダーを中心とするグループや女性グループによる意欲的な取組を支援するものです。

● 資源管理・漁業経営安定対策

次に取り組むべき課題としては、適切な水産資源の管理と漁業経営の安定をともに実現していくことです。特に最近は、燃油や養殖用配合飼料価格の高騰により、漁業者の経営に大きな影響が生じており、価格高騰の影響を緩和するセーフティーネット対策を組み合わせた、漁業経営安定対策が必要になっています。
26年度当初予算では、「資源管理・漁業経営安定対策」として対前年度17億円増の390億円が確保されました。主な事業を説明します。

①「漁業収入安定対策事業」(H26当初:252億円、対前年度7億円増)
・資源管理の取組に対して支援するもので、沿岸・沖合・遠洋漁業・養殖業が対象です。
・一定の基準収入から一定以上の減収が生じた場合、その減収を補填する仕組みで、共済掛金の一部を補助します。
・この仕組みの発動ラインは、漁業共済が原則8割、さらにその上乗せである積立ぷらすが原則9割で、基準収入の8割を下回ったり、9割を下回った場合は、一定の補助がなされます。

②「漁業経営セーフティーネット構築事業」(H26当初:45億円、対前年度10億円増)
・原油価格・配合飼料価格が、「7中5平均値(高値の価格1年分と低値の価格1年分を除いた5年分の平均値)」(現在、A重油換算ベースで1リットル約80円)を超えた場合、超えた分を国が1/2補填する仕組みです。
・最近の円安による影響を踏まえ、漁業用燃油については、平成27年3月末までの緊急特別対策が追加されました。
・緊急特別対策では、A重油換算ベースで1リットル95円に“特別対策発動ライン”が設けられ、それを超える部分を国が3/4補填します。

● 平成25年度補正予算へ前倒しされた「省燃油活動推進事業」

漁業の経営安定対策が急がれたため、水産関係では多くの施策が前倒しされ、平成25年度補正予算に556億円が確保されました。
このうち、「省燃油活動推進事業(80億円)」が新設されましたので、内容を説明します。

省燃油活動推進事業とは、浜の漁業者グループが日常的・計画的に取り組む、燃油消費量を減らす活動を支援するものです。助成額は、省燃油活動に参加する漁業者の燃油使用量に応じて支援されます。具体的には、以下のような活動ですが、浜ごとの事情に応じた自主的な取組でも可能とされているため、ご利用を検討の場合は、最寄りの市町村等にお問い合わせ下さい。

①船体とプロペラの付着物除去などの清掃活動
(漁船の燃費向上につながります。小型漁船の場合は、プロペラのみの清掃も約41%減少の例もあるそうです。)
②漁場のデータ収集・分析活動
(無駄な出漁の防止、効率的な漁場発見により燃油節約ができるとともに、効率的で計画的な操業が可能になります。)
③省エネ漁具等による省エネ操業の実証活動
(最新の省エネの漁網(抵抗が少ない、水切れがよい、軽い)等を使用することで、燃油の過度な消費を抑制します。)