Profile:著者 太宰治
Price:新潮社 ¥540-.
太宰治の「遺書」とも言われている処女作。
ネガティブな本心をありのままにさらけ出している。
小説の中に、表現者として評論家などの第三者の目を意識している視点が随所にあり、小説の構成や狙いも包み隠さず書かれている。分かり易くもあり手の内を明かし自分自身に語りかける部分もあり、その語りにより小説の流れがガラッと変わる部分もあり、運びが面白かった。
自分の事を第三者的視点で分析するところなどは、どこか自分に似ている節もあり、話が飛んだり行き違ったり、自分が誰かに宛てたいつかの手紙を読み返しているようにも思えた。
自国の言葉や昔の言葉なども多く、短編によっては難しかったが、読めない感じではなかった。
一連の短編から彼自身の性格や人柄が伺え、ある種の長編の自己紹介にも思えた。
自分だけじゃないんだ。これはこれでいいんだ。と、自分自身の色々な事を改めて認める事が出来た。そんな一作になった。
この本に出逢えて良かった。
![$紫陽花とchamele0n.](https://stat.ameba.jp/user_images/20101206/15/maison-de-couture/8d/81/j/t02200313_0300042710901893939.jpg?caw=800)