最近また荻原浩にハマってる!



大好きな小説家さん。






好きな作家がいても、どんなに新刊を読みたくても文庫化されるまで待つ私。

だってハードカバーやと重くて通勤に持っていけないんで。。





独身時代、荻原さんの作品で文庫化されてるのは ネットでしか手に入らないやつ以外ほとんど読破してた。


結婚してから久しぶりに本屋に立ち寄ったら文庫がいっぱい増えてた。

おおお!と思って、大人買いの勢いで未読作品を全部買った。重かった。




いろんな作家の小説は読んだけど、やっぱ荻原さんが好みやなぁ、と思う。




本って買う前に帯とか表紙裏にある本書説明みたいなのを見てテーマとかあらすじで面白そうって思って買うやん。


でも荻原さんのは作家買い。

たとえ作品のテーマに興味がなくても、この人の書くのは面白いに決まってる。ていう安心感があるのね。





なんていうか、この人の文章表現が好みなんよね。


コミカルだったりシリアスだったり
大人の事情炸裂のブラックユーモアだったり
一見子ども向けみたいな物語だったり
ハートフルな人情ものだったり、冷酷なミステリーだったり



なんぼほど引き出しあるんって感じで作風が定まらないけど共通してるのが文章表現力。

作家に対して表現力が云々とか失礼な話なんやけど。

ただ私の好みなの(笑)



何かひとつ名詞を表すにも、いちいちひねりや揶揄を交えたり

動詞も形容詞も一筋縄ではいかない感じに工夫を凝らした表現で

最高のテンポ感で登場人物のキャラクターをリアル化する。




この揶揄が非常に的を射てて 楽しい。痛快。

読む娯楽としては最高なのですよ。





彼にサラリーマンを書かせたら右に出るものはいない、とか評価されてるけど、たしかに。

企業モノはほんとに上手いなと思う。もちろん他のもやけど。



ふざけた文体のなかに本質が見え隠れするのよね。
私は一般的な現代社会のOLとして、非常~に共感する部分が多い。

どうしようもない世の中を面白おかしくバッサリやってくれるから最高。




気付いたらもうページが少ししかない。

さみしい。読み終えたくない。





とにかく個人的に、超好みです!!







もしも自分が作家になるとしたら絶対荻原さんみたいな作品が書きたい。




昔の私、学校で作文書いたりするときに好きな感じの表現をする作家の作風を意識して書く子やった。


その時は「最高の出来」と自分で思ったんやけど、大人になってから読んだら顔から火が出そうになったりするけど。



書き出しが「○月○日、私はお母さんと京都にいきました」
みたいな普通なのががなんとなく嫌やったのか

「あっ!そうだ!」とか意味不明な書き出しで始まってたりする。笑



そうだ!京都へ行こう!
のCMのつもりなんかな?

とにかく変わった文章が書きたかったみたい。笑





それから 敬体(いわゆる「ですます調」)よりも、常体(いわゆる「である調」)を使いたがってた。

その方が大人っぽくて格好いいと思ってたみたい。



しかし、○○である。
とか小学生が無理して書くなよ

と痛々しい感じがたまらないw






その影響となったのが もうひとつ。


お父さんが 毎日日記をつけてたのを 書斎でこっそり読んだことがある。
別に隠してる風でもなく机にポンと置いてたから。


昔ちょっとだけ文章を書く仕事をしてたお父さん。

その名残のある小難しい真面目な文章で、旧友とのやりとりが書かれてた。

何気ない日常のシーンが、小難しい表現のおかげでシリアスな映画のワンシーンみたいに感じられて

かっこいい!と思った。



それで大人っぽい文章にハマったっぽい(笑)  ていうただのアホ。






ふと思ったけど、荻原さんの作品って
表現の仕方は違うけどお父さんの普段よく喋ることや書いてた事と視点というか物事の捉え方がなんか似てる気がする。

社会的に外れた人とか、人間の陰の部分とかにスポットを当てたがるというか
そういう部分から人間の本質を語る傾向があるというか。
なんか、ややこしい事を題材にしたがるんよね。笑

だから親近感がわくのかも。



人間てそんな「人生うまくいってるモデルパターン」な生き方出来ないからね~。

建前で器用に生きる人、本音炸裂で不器用な人、流される人、流されない人、思慮深い人、何も考えてない人、我慢できる人、我慢できない人、理性で生きる人、感情で生きる人、前向きな人、後ろ向きな人、行動的な人、消極的な人、細かい人、ざっぱな人・・・

どれが正解とかないってオチなんやけど 、とりあえず人間ってこういう生き物だから覚悟しとけ、みたいな。



世間一般には「前向きで、信念を持ってて、行動力があって、理性的で、感情豊かで、おおらかな人」が良いみたいにされるけど、
そんなん理想の高すぎる婚活と一緒やんかって話。


前向きで行動力あるけどどうしようもないバカとか、知性的でクールやけどクソおもんないとか、信念を持ってて強い人やけどいろいろめんどくさいから皆に避けられる、とか

だいたい人間てそういう感じに傾くでしょ って話。
それが人間の味ってやつ。



それをマイナス要素だけで「ダメな人間だ」と決めてしまわないで
キャラ立ちさせてあげるのが上手なのが荻原さん。

そのなかで善悪の判断を読者に委ねる感じ?




私だってやっぱり何かに傾いてると思うし。
関わる相手によって、いい奴にも悪い奴にも見えるときがあると思う。

でも、堂々と生きてていいんやって元気になれる。


荻原さんの作品にはそういった意味で、いつも生きる元気をもらってる。






私が特に好きなのは


「四度目の氷河期」
「あの日にドライブ」
「ひまわり事件」

地味な世界観やけどなんか深くて壮大な印象を受ける不思議な作品たち。
人の心を描写が巧いからか、立場の全然違う登場人物にそれぞれ共感してしまう。




あとコミカル炸裂で楽しいのは

「オイアウエ漂流記」

とにかく笑える。
ハチャメチャなようで妙に現実味があるんよね。共感というか、爆笑しながら痛快に納得。あまりに先が気になって夕飯つくるの2回さぼった(笑)

笑いのツボと一緒で合う合わないがあるかもしれんけど、私にはたまらん。



ミステリー系なら

「噂」
「さよならバースディ」

が好き。
さよならの方は本格ミステリーではないけど、とにかく心を揺さぶられた。


SF系なら

「ぼくたちの戦争」

第二次世界対戦の詳しい描写があるけどただの戦争小説ではなくて、時空交差で現代人との比較をテーマにしてるから面白くて、徹夜で読んだ。



ひとつだけ、荻原さんの文庫化してる作品で未読があって。


「明日の記憶」

これはね、ずっと前から何度も手に取ってはまた今度にしようって棚に戻してしまってる。

若年性アルツハイマーのお話。
あらすじから想像しただけでどうしてもなんかつらくて。

荻原さんにこんなテーマを書かれたら絶対やばい。

いつか読めるようになればいいな。







今度お父さんに「ひまわり事件」をオススメしてみようと思った。


なんか緊張する。

憧れの才能の人に、これまた憧れの才能の人の本を読んでもらうのって。
自分のチョイスを批判されたらショックかも。

けど、きっと好みは合うはず。。



ドキドキ。 今度の日曜日、久しぶりに会うから渡そう。
こんなドキドキするのって久しぶり。






ちなみに相方は、歴史系の本が大好き。あとはビジネス本とゴルフの本と資格取得講座。
資格のはだいたい読みかけで終わってるけど(笑)


歴史、ね・・

同じ人物を描いてても脚色が違うと全然違うから面白いとか合わないとか分かるけど
私は歴史に詳しくないから どう評価すればいいのかすら分からない・・

というかメジャーな歴史人物しか知らんから マイナーな人とか それ誰?みたいな(汗)

もっと社会頑張ればよかった。



だからお互いの読みかけの本がリビングにあっても「貸して」ってならない^^;


趣味が合ったら金浮くのに(笑)