技術は右肩上がりではない | お掃除とメンテナンスのプロ 矢部要のブログ

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「仕事でお掃除をする方の作業を楽にする事」が使命(ミッション)だと考えています。

 一般の『お掃除』から世界のプロが実践する『メンテナンス』の紹介をしています。

新年あけましておめでとうございます。さて、年始早々幾つかの講習会の準備に追われています。今年は様々な講習をもっと分かり易くするにはどうすればよいかを大きなテーマにしていますので、少し説明方法や資料を変えようと思っています。最初の講習のテーマはメンテナンス先進国アメリカと日本の違いが大きなテーマなので、その準備にかかっています。
先ず初めに「掃除」と「メンテナンス」の違いをどう説明するかが問題なのですが、いつも思っているのは「掃除」は文化ですが。「メンテナンス」は技術なのです。掃除は様々な人が実施しており、やり方も言葉通り「様々」です。奇麗になればいいのです。しかし、職業として実施する以上、競争もあり、アマチュアとは大きな違いが必要ですので、「技術」である必要があり、出来れば科学的なものであるべきなのです。

そして大切な事は技術は右肩上がりに上がるものではないと認識する事です。技術の向上は多くの場合、誰かが革新的なものを打ち出し、それに他が追随するのです。ステップの長い階段の様なものです。ある著書で、若し「エジソンがいなければ、今日の私達の生活はなかったでしょう」と言う記述を読んだ時にはハットするとともに、その通りと納得しました。例を走り高跳びで挙げましょう。最初ははさみ飛びでしたが、私の若い頃はバーを覆いかぶさるように飛び越えるベリーロールが主流でした。しかし、1968年のメキシコオリンピックで米国フォスベリーの背面飛びを最初に見たときにはビックリしました。その飛び方であっさりと金メダルを獲得したのです。今では記録を出すには背面飛びを採用しない選手はいません。


他にも長く生きていると様々な経験があります。私の若い頃のスキーの技術は「伸びあがり、沈み込み」でした。ターンの手前で体を浮かせ、沈み込みながらターンをするのです。しかし、冬季オリンピック三冠の仏ジャンクロード=キリ―が三冠達成と同時に引退し、自分のスキー方法を開示すると言って、それまでとは真逆の「沈み込み、伸びあがり」の滑りを披露したのです。ターンをする際に、板を蹴りながらターン出来るので、効率が圧倒的に良かったのです。それから、暫くはどこのスキー場へ行っても、極端に沈み込み、伸び上がりながらターンするスキーヤーが増えました。


 

技術は自然に向上するのではなく、うっかりすると却って停滞する事があるのです。技術向上には、それを求める必要があります。今、様々なスポーツで日本の若者が活躍をしています。サッカーやラグビー・・勿論野球もです。あれはそれまでガラパゴス化していた日本のやり方ではなく、海外に出かけ、そこの最新の技術を死に物狂いで身に着ける事で、素晴らしい結果を出しているのです。


技術には地域格差があります。それが進んでいる所とそうでない所です。技術向上には、自分で工夫するだけではなく、進んだ技術を先ず取り入れる事が最も確実な方法です。メンテナンスで言えば、一番進んでいるのが米国ですので、その技術を参考にするのが、技術向上の最も確実な方法だと考えます。