何故洗剤が必要か | お掃除とメンテナンスのプロ 矢部要のブログ

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「仕事でお掃除をする方の作業を楽にする事」が使命(ミッション)だと考えています。

 一般の『お掃除』から世界のプロが実践する『メンテナンス』の紹介をしています。

世界で行われている科学的清掃「メンテナンス」の世界ではほぼ議論の余地がないのですが、残念ながら我が日本では「何故洗剤が必要か」を始めに深く掘り下げて納得する必要があるようです。
私の講習会でも、世界に比べ、我が日本が自分以外の洗浄剤の使用が先進諸国に比べると大幅に少ない事を強調しています(ヨーロッパ先進国平均の2.5分の1と言うデータもあります)。ある協会関係の講師の方と話している際に、病院清掃でも、水使用で大丈夫と言う話を聞いた時には思わずのけ反りそうになりました。世界の感染防止の考え方との隔たりの大きさに暗澹とする思いでした。また、日本では多くの人が水を加工したものを「安全・安心」と言う意味で珍重したり、重視したりしますが、世界のメンテナンスパーソンが100人いたとしたら、その意見に賛成する人は恐らく二桁になる事はないでしょう。
 

物理的力+化学的力
 

のバランスが重要なのは誰もが知っている事ですが、化学的力の洗剤教育が殆ど為されていない現状では、洗剤の活用も難しいものになってしまいます。

こうした事がなぜ起こっているのかと言うのはいつも考え続けているのですが、大きな原因の一つは良く落ちる洗剤に出会った経験が少ない事があるのではないかと考えています。私の講習会では洗剤の使い方がうまくなるためには

「RTU(Ready to use=希釈しないで使う洗剤)から始めよ」

という事を良く話しますが、洗剤によってビックリするような経験が少ないので、上記の様な事が起こるのではないかと考えています。RTUの洗剤は希釈で間違える事がないので、結果が出やすいのです。その為、トイレメンテナンスの講習会では弊社製品「NABC(ナバック)」をサンプルで差し上げて、それを直ぐに自宅で使う様に勧めています。タップリつけて、乾いたタオルで拭くのです。


この製品は少し酸に傾いた中性(pH6.5)で、石鹸滓や、尿の撥ね、細かな錆びを簡単に除去出来るように設計されていますので、陶器や金属が元の光沢を取り戻してピカピカになるのです(ファインミストの除去と言っています)。「自宅で」と言っているのは、作業場では既に研磨剤を何らかの形で使用(色付きパッドなど)しているため、釉(うわぐすり)やメッキ(金属の)を傷めているケースがあるからです。
メンテナンス作業ではノンリンスの洗剤が有効な為、それほど強いものではなく中性の物を使うのですが、それが水拭きとあまり変わらないと、洗剤拭きの意義が伝わらないのです。
洗剤を使う事が生産性向上には欠かせませんが、その為には先ず、洗剤の必要性を心の底から信じる必要があるのです。
一拭きですぐに効果の出る洗剤をぜひ使ってみましょう。そうする事で、洗剤の必要性を心底納得でき、スキル上昇のスタートが切れるのです。