3つの原則 3つのポイント 続き | お掃除とメンテナンスのプロ 矢部要のブログ

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「仕事でお掃除をする方の作業を楽にする事」が使命(ミッション)だと考えています。

 一般の『お掃除』から世界のプロが実践する『メンテナンス』の紹介をしています。

3つのポイント

 

3つの原則で概ね洗剤は扱えるようになりますが、私達が扱うのはプロ用の洗剤ですので、上手く使いこなすには3つのポイントをおさえましょう。

  1. 臨海ミセル濃度
  2. リンス/ノンリンス
  3. ファインミストの除去

です。

 

1.  臨海ミセル濃度

私達が扱うプロ用の洗剤は多くのものが、薄めて使用する(希釈)タイプになっています。その際に、希釈幅(「1:10~1:100」等)が書いてありますが、実際には殆どの洗剤には希釈のベストポイントがあります。プロ用の洗剤は非常にユニークで特徴があります。弊社のアルカリ性万能洗剤を例にとってご説明しましょう。マルチサーフィスクリーナーはアルカリ性万能洗剤(pH11)ですが、非常に有効な特徴を持っています。床のワックス管理に使用する際に、汚れだけ落とし、ワックスを溶かさない(光沢を落とさない)のです。最適希釈率(臨海ミセル濃度)は1:50です。

通常のアルカリ性万能洗剤は汚れは落とすのですが、ワックスも少し溶かします。その為、光沢が少し落ちてしまいます。床についた汚れをこうした洗剤で除去すると、汚れは取れるのですが、その部分だけ光沢が無くなってしまうので、その場所にワックスを再塗布したり、バフをかける必要がありますが、この洗剤を使用すればそうした問題を起こさないのです。洗浄後、水拭きすれば作業終了です。簡単です。また、定期清掃をした場合、洗浄前のグロスが40程度だとすると、床洗浄で20程度になってしまいますので、ワックスを再塗布しても、せいぜい元に戻る程度ですが、この洗剤を使えば、光沢が落ちませんので、ワックス再塗布でグロスが60位になります。圧倒的な差が出ることになります。ただし1:50で希釈する必要があります。希釈が守られないと(濃すぎたり、薄すぎたり)他の洗剤を使用するのと変わらなくなってしまいます。同様に弊社製品「パスメーカー」は1:40希釈で(臨海ミセル濃度)ワックスのディープクリーニングを可能にします。通常の表面洗浄より強い洗浄作業をしようとした場合には最適な作業方法ですが、希釈率を守る必要があります。そもそも、本来各洗剤はそれぞれ特徴があり(そうでなければ売れないからです)、希釈不要(RTU=レディ・ツー・ユース)状態で売りたいのですが、そうするとコストが掛かりすぎるため、希釈タイプになっていますので、正しく希釈するという事はその洗剤のベストの状態で使うという事なのです。洗剤使用のコツは「正しい所に 正しい洗剤 正しい希釈で」が基本です。

この問題の最も簡単で有効な解決方法は自動希釈器を使用することです。今は安価で、簡易になりました。世界的には自動希釈器の使用は当たり前になっています。

 

2.リンス・ノンリンス

日本人が自分に使う石鹸やシャンプーは世界先進国比で使用量が多いか同等でも、自分以外の洗浄剤(様々な場所や衣料に対する洗剤)は圧倒的に使用量が少ないと言う(2.5分の1)データがあります。日本の我が業界でも洗剤の使用料が世界的に見て少ないのです。拭き作業も水拭きが多く、洗剤を使用する際には、アルカリ性万能洗剤を使用する例が殆どになっています。アルカリ性万能洗剤は比較的強い洗剤ですので、必ずリンス拭き(水拭き)をして、洗剤分を除去する必要があります。その為、洗剤は必ずリンス拭きが必要と思っている人が多いのですが、世界では洗剤が非常に進化しており、水拭き不要のものが数多くあります。メンテナンスで作業効率を上げるためには洗剤使用が不可欠ですが、こうした際にはノンリンス(水拭き不要)のものを使用しましょう。2度拭きする必要もなく、便利に使用できます。洗剤を使用する際にはその洗剤がリンス必要なものか不要のものかを必ず確認し、適正に使用することが大変重要です。

3. ファインミストの除去

世界のメンテナンスパーソンが非常に重視するポイントです。私達の身の回りには目に見えない細かな汚れ(ファインミスト)が一杯あります。こうした細かな汚れは水拭きでは殆ど取れません。水は表面張力が強いので、この手の除去には不向きなのです。一方、洗剤はこうした汚れを簡単に取ってくれますので、日常的に洗剤を使用する場合はこのファインミストの除去をしっかり行う様にします。細かな汚れをしっかり取り去る事で、素材自体の光沢が戻り美観が向上します。そして、次に汚れるまでの時間を稼げますので、作業効率も上がるのです。また、素材がメンテナンスする度に光沢を戻す事で、洗剤の効果を実感でき、洗剤使用の技術が上がるのです。

一例をワックス管理で挙げてみましょう。ワックスを水拭きで管理すれば、ファインミストが取れませんので、目に見える汚れはなくなりますが、それほどすっきりとした床にはなりません、バフを掛ければファインミストを練りこんでしまいます。定期清掃をしても、それほどすっきりしませんし、上記の練りこみが進めば、剥離清掃の時期も早くなります、

一方、ワックス管理を適正な中性洗剤やハイブリッド洗剤を使用したとします。床の状態はファインミストが取れるので、すっきりと奇麗な状態です。バフを掛けても、ファインミストの練りこみがなく、光沢が上がります。定期清掃のスケジュールを少なくする事も可能でしょう。こうしたメンテナンスを続ける事で、剥離清掃の時期を大きく延ばす事も可能になるのです。

トイレメンテナンスでファインミストの除去に心掛ければ、陶器や金属部分はいつもピカピカに保つことが出来るでしょう。高級感を提供でき、次のメンテナンス作業も(ファインミストがないことから)楽に行えることになるのです。

 

以上で3つの原則と3つのポイントは押さえました。洗剤使用のコツを掴む事で、皆様の技術が益々上がる事を願っています。