生産性向上の障害?「自前主義」②
お掃除は誰でも出来ます。邪魔なものを片付け、汚れを取り去ればいいのです。殆どの汚れが箒や水と雑巾で除去が可能です。しかし、会社単位となり、それを生業とした場合には効率化が必要になりますので、様々な創意工夫がそこに生まれ、それが伝承される事で、効率が大きく上がります。モップも使い方やそれこそ絞り方ひとつで作業効果が大きく変わりますので、そうした創意工夫の重要性は決して小さなものではありません。
しかし、もうひと段階上の世界があるのです。科学的手法を用いる方法です。理論やデータを駆使し、作業効率と作業効果を最大限引き上げようとする試みです。20世紀半ばのフォードによるオートメーションシステムなどはその典型でしょう。
メンテナンスも同様に米国で生まれた科学的システムです。今から40年近前に、米国で大手メンテナンス会社が競争に勝とうとMBA(経営学修士)を雇い、オペレーションを任せる事から始まりました。彼らが清掃を科学的に分析し、作業時間を短縮し、作業効果を劇的に上げる事で、そのシステムが米国のみならず、世界的に広まったのが所謂プロの清掃「メンテナンス」です。かれらMBAの連中が自分達のやっている事はもはや清掃(Cleaning)ではないとして「Maintenance(メンテナンス)」とネーミングしたのです。従来の清掃方法の作業時間を3割以上削減する方法として、爆発的に世界に広まりました。その手法が残念ながら、我が日本では中々採用されないのです。
メンテナンスはお掃除とは違います。お掃除を改革改善するだけでは、何割もの作業効率化は不可能でしょう。やり方の革新が必要で、それにはメンテナンスが不可欠です。自前主義では限界があります。メンテナンスはしっかり学習し、それを固い決意で実践する必要があります。全てを自前で済まそうとせず、メンテナンスのプロの助けを借りて、そのシステムを実践する事で、メンテナンスのプロが増え、その会社や業界の生産性が上がるのだと確信しています。