病院清掃②「易感染者と日和見感染」
病院には体の弱った人がいます。治療によって改善を目指してはいるものの、治療中は体力がかなり落ちており、抵抗力が著しく低下しています。こうした人は健常者に比べ、感染しやすくなっており、易感染者(いかんせんしゃ)と言う言い方をします。
一方、我々の身の回りには非常に多くの微生物がいるのですが、どこにでもいる微生物を常在菌と言っています。これらの微生物は普段は私達とバランスを保っています(感染を起こさないという意味です)。しかし、常在菌の中に健常者とはバランスを保つものの、相手が体力の弱った易感染者である場合には感染を引き起こす事があるのです。こうした、相手を見て(相手の体力が弱いとと言う意味ですが)起こす感染を日和見感染と言います。日和見をするのです。この感染で厄介なのは、どこにでもいる微生物が感染を起こすという意味なのです。こうした微生物の中に、抗生物質に耐性を持った微生物も存在し、このタイプの微生物に感染すると抗生物質が効かない為、治療に非常に苦労することになります。代表的なのはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)等です。
従って、病院内で感染を防ぐ必要のある微生物は2つのタイプがある事になります。一つは外から来る微生物です。インフルエンザやノロウィルスがこれに当たります。外から持ち込まれるのを何とかして防ぐ必要があります。
そうして、もう一つが説明した常在菌で日和見感染を起こす微生物です。この微生物が大変なのは、どこにもいるからです。即ち、無神経なタオル拭きなどをすると、この手の常在菌を塗り広げてしまう事になりかねません。
従って、前回の①「病院は特殊な場所」でメンテナンスの知識と同時に感染防止の知識と実践が必要だと言ったのはこの為です。
通常のメンテナンスのつもりの掃除では、感染を防ぐどころではなく、(あまり考えたくありませんが)感染を呼び込んでしまう事があり得るのです。
易感染者と日和見感染
この2つをしっかり認識しましょう。そして、これに気を遣う事で、病院内のメンテナンスの大事な部分を胸に刻む事が出来るのです。