アルカリ性万能洗剤「特徴をつかもう!」
ビルメンテナンス業界で最も親しまれている洗剤です。私達の身の回りの殆どの汚れがアルカリ性で落ちる事はこのブログでも何度も書いてきましたが、この洗剤は概ねpH値が9~11程度でアルカリのキックが効いている為、様々な汚れに対応し、汚れ落ちも良いのです。元々の英語ではAll Purpose Cleaner(オール・パーパス・クリーナー=全目的洗剤)と言い、「あっ、この汚れにも効くね。これにも良いね」と言った感じからこの名前になった訳です。
世界的にはメンテナンス業は元来床汚れの除去がメインの仕事になるので、床を綺麗に保つための洗剤として開発され、重宝されました。土足が当たり前の環境を如何に快適にするかという事で発達・発展してきたのです。メンテナンス業に依頼すると言う場合は床の洗剤拭きが真っ先の仕事になります(この為、向こうでは自動洗浄機が良く使われるのです)。
アルカリ性万能洗剤は床だけでなく、その他の汚れも良く取ってくれたことから、活用され、各メーカーともにそれぞれ自信作を持っています。アルカリ性であることから、汚れは良く取ってくれますが、リンス拭きは必須です(但し、自動洗浄機で使用する場合は少し感性が異なります。洗浄する床の凹凸が少なく、自動洗浄機の吸水とスクイジーのブレードがしっかりしていれば、一流の機械メーカーのものであれば吸水率が98%を超えますので、床材によってはそれ程神経質になる必要はありません)。
この洗剤を使用する際にはその特徴をしっかりつかむ事がメンテナンス効率を上げるうえでは重要です。貴方のお使いになっている万能洗剤の特徴は何でしょうか?その特性を生かし切っていますか?弊社製品を例に取って考えてみましょう。
弊社で代表的なアルカリ性万能洗剤は「マルチサーフィスクリーナー」と「パスメーカー」です。
「マルチサーフィスクリーナー」は1:50で希釈するのが基本ですが、この希釈倍率では汚れを良く落としながら、ワックスの光沢を落とさないのです。ここが非常に重要なポイントです。この性質を上手く使えば、定期清掃時には、ワックス再塗布1枚で光沢を挙げる事が可能ですし、日常清掃で使用した際にも、汚れだけを落とし、ワックスの色ボケを起こしません。
「パスメーカー」は1:40での希釈が基本ですが、この倍率ではワックスのディープクリーニングが可能になります。剥離にはまだ早いが、ガッチリ汚れを落としたいときには最適です。ディープクリーニングをしながら、ワックスを均一に溶かすのです。
また、自動洗浄機を使った定期清掃にも向きます。自動洗浄機はパッド圧が弱いため、通常の洗剤では効き目が弱く、問題を起こしがちですが、「パスメーカー」は元々このため用に作られていますので、最適です。
もっとも万能洗剤らしいのは「SD-20 」です。机、電話機(水に触れてはいけない部分はダメですが)、ドアノブ、壁・・・等、水拭き可能な場所にスプレーし、必要であればスポンジなどで擦りますが、通常は水を含ませたタオルで汚れと一緒に洗剤を拭き取るだけで様々な場所がビックリする程綺麗になります。スパルタン社の最初のベストセラー商品です。
さて、便利なアルカリ性万能洗剤ですが、全ての汚れに対応する訳ではありません。我が日本でよくみられる現象は、水拭きとこの洗剤の2つで全てを済ませようとするケースが多いのです。先ず、酸が必要なトイレや風呂場、流し台、錆などには効果がありません。強い汚れ取りが得意な洗剤ですので、微妙な汚れ(ファインミスト)除去には向いていません(リンス拭きなど工程が複雑になってしまうのです)。
ともあれ、繰り返しになりますが便利な洗剤ですので、特徴をしっかりつかんで使用しましょう。特性を生かせば大きな味方になってくれる洗剤です。