13 ベストポイントで使え「臨界ミセル濃度」 | お掃除とメンテナンスのプロ 矢部要のブログ

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「仕事でお掃除をする方の作業を楽にする事」が使命(ミッション)だと考えています。

 一般の『お掃除』から世界のプロが実践する『メンテナンス』の紹介をしています。

私達プロが使用する洗剤は殆どが希釈して使用します。洗剤は説明してきたように、薄めれば効果が薄くなり、濃くすれば効果が高くなるのですが、各洗剤には希釈のベストポイントがあるのです。薄い分には効果は低いのですが、濃くしてもある一定の濃度を超すと、それ以上濃くしても余り効果が変わらないポイントです。このポイントを「臨界ミセル濃度」と言います。

社内講習会はよく頼まれてやるのですが、大手メンテナンス会社では、新入社員の講習会も頼まれることがあります。洗剤の使用方法が演題であるケースが多いのですが、新人から

「先生!(こう呼ばれるとドキドキしちゃいますね)、洗剤を上手く使うコツは何ですか?」

という質問が出る事があります。こうした際に私が答えるのは

「RTU(Ready to use=希釈せずにそのまま使う)の洗剤を使う事です!」です。

RTU(アール・ティ・ユー)の洗剤は希釈する事が無くそのまま使えますので、洗剤の強さや便利さをそのまま享受できます。「洗剤とはこんなに便利なものか!」と実感できるので洗剤との距離感が近くなるのです。希釈を間違うことがないからです。希釈を間違うと、使い難かったり、汚れが落ちなかったりするので、洗剤の良さを分からずに過ごしてしまう事ケースが馬鹿にならない程多いのです。

しかし、実際にはプロ用の洗剤は非常に工夫されており、大変便利です。各メーカーがしのぎを削っていますので、それぞれユニークな特徴を持っています。優れた特徴が無ければ売れないからです。

日本では最も使われているのがアルカリ性万能洗剤ですので、これを例に取りましょう。この洗剤は床で使用するのをメインテーマにしていますので、ワックス床を例に取ります。(いつもこの例ですみません。一番分かり易いので)

弊社のマルチサーフィスクリーナーは1:50で使用すると汚れは取りますが、ワックスの光沢を落としません。ワックスはアルカリに弱いため、通常の万能洗剤では表面が少し溶けて、光沢を落とすのです(少し溶けた所をポリッシャーに付けたパッドで擦るので汚れが良く落ちるのです)。洗浄後、良く水拭きして乾燥すると、光沢が非常に落ちます。その為、ワックス塗布1回ではあまり光沢が出ません。しかし、2回塗布すると、時間が掛る為(ワックスの代金もですが)コストが上がってしまうのです。今、2回塗布分の料金を払ってくれる所は殆どありません。そうすると、ワックスを塗布した床も、光沢を出す事が出来ませんので、出来栄えもそこそこと言った事になります。

しかし、マルチサーフィスクリーナーを使用すれば、汚れは取るものの光沢を落としませんので、洗浄後のワックス塗布で床の光沢が上がって綺麗に、リッチに見えるのです。ワックス床は本来光沢があって然るべきなのですが、上記の理由で殆どの床がそこそこの状態です。差別化を目指すとしたら、こうしたテクニックを使えば、料金も上がらずに差別化する事が可能になるのです。

また、パスメーカーと言う洗剤では1:40稀釈でディープクリーニングが可能になります。汚れが強めのワックス床で、剥離清掃(これが非常にお金がかかります)には早すぎる場合などにピッタリです。

繰り返すと、汚れの酷くない床ではマルチサーフィスクリーナー1:50を使用し、汚れの酷い床ではパスメーカー1:40を使用すれば。

いつも綺麗で、剥離清掃(これは環境にもよくありません)も少ないメンテナンスが可能になるのです。

同様の事が他の洗剤でも起こるのです。従って、洗剤を使用する場合にはその洗剤のベストの希釈ポイントとそれにまつわる特徴をしっかりと把握する事が重要です。言ってみれば各洗剤にはそれぞれ素晴らしいクーポンが付いているので、それを徹底的に利用するのです。そうする事でメンテナンスの効率と効果を圧倒的に上げる事が可能になるのです。