悪臭の除去Ⅰ | お掃除とメンテナンスのプロ 矢部要のブログ

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悪臭の除去
 
職業柄、様々な客様に話を聞く機会があります。メンテナンスでお困りな事を良く聞くのですが、トイレでは「悪臭」の問題が多い事に驚かされます。悪臭の除去は非常に論理的なものです。問題を特定し、解決すればそれほど困難な事ではありません。しかし、闇雲にやっていては効率も結果も思わしくないのです。
悪臭の除去は従前は以下の4つの方法が主たるものでした。
1. 除去
悪臭の元を取り去る事です。これは今でも最重要事項です。
2. マスキング
強い香りで悪臭を感じなくさせる方法です。昔の芳香剤や香水などが該当します。香りが強すぎるため、今では下火になっています。
3. 吸着
狭い場所に向きます。冷蔵庫や車の中などです。空気に一定の流れを作り、活性炭の様な物を置いて置き、そこで臭いの分子を濾過しようとするものです。米国では冷蔵庫にベーキングソーダなどを蓋を開けたままおいて置き、臭いを取ります。置き炭などもこれに当たります。
4. ニュートライゼーション
臭いの分子から酸素を取り出したり(還元作用)、酸素をくっつけたり(酸化作用)し、分子の性質を変えてしまいます(ニュートライズ=中和作用)。性質の変わった分子が鼻に入ってももはや悪臭として感じる事が無くなります。現在の消臭剤の原理です。

しかし、これらは「1.除去」を除けばあくまでも対処療法です。トイレの臭い、ごみ置き場の臭い、ペット臭などの臭いは対処療法ではうまく行きません。もっと根源的に対処する必要があるのです。
 上記の生活悪臭は基本的に非衛生性から起こります。汚れ(有機物)を微生物が食べ、その際に悪臭が出るのです(生物分解作用)。この作用に着目し、消臭効果をもたらすのが
A. 除菌クリーニング
B. バイオクリーニング
です。
A. 除菌クリーニング
汚れを取りながら、微生物を除去します。衛生的で悪臭が取れる非常に優れた方法です。医療関係やフード関係に適しています。また、米国(本土でも、ハワイやグアムでも)の公共のトイレでの悪臭が殆どないのは除菌クリーニングが徹底している為です。
但し、効果が長持ちしないのと、染み込んでしまったものには向きません。
B. バイオクリーニング
除菌クリーニングとは逆で、汚れを取りますが、そのエリアに悪臭の原因菌よりも強く、人体や動物に悪影響を及ぼさない事が証明されている微生物を送り込みます。悪臭の原因菌が働けなくなり、良いバイオが汚れを消化する為、消臭効果がもたらされます。現在の所最も強力な方法です。
医療関係、フードコンタクト(食べものが直に触れる所=食物カゴなど)では使用できません。

以上が消臭の基本的なテクニックになります。これを、悪臭の原因になっている場所に対して対処していくことになるのです。