束の午後2時の5分前に、マンション管理士のOさんが来た。

年齢は40代と思われる。身長は175以上だろう。そして二枚目だ。

礼儀正しく、また堂々とした立ち居振舞いだ。

 

(こりゃあ、仕事できるヤツだ~)と思った。

 

軽く外観をチェックされた。消火設備などをチェックしているようだ。

 

部屋へ通して、書類のチェックとなった。

 

 

 

◆ダメ出しの嵐

 

理事長を輪番で引き受けて、すぐに回ってきたのが、段ボール箱3つの書類だった。

整理。分類も、バラバラで。抜けも凄い。

その年度の理事長ごとに、管理方法がバラバラなのだ。ゆえに【わからない】となり、ここ2~3年分の書類は分類もされずに、ただ放り込まれている状態だった。

 

「まずは、この書類の整理だね」と妻と、溜め息まじりに語ったのだった。

 

今日の診断で、各書類を見ると聞いていたので、可能な限りの整理は試みていた。

しかし、まだ理事長になりたてで、右も左も分からなく、悪戦苦闘中に今日を迎えたのだった。

 

Oさんは、「管理規約などを見せてください」と言った。

これは、あるにはあるのだが、超古い。紙が古いという意味以外に、書かれている内容が古いのだ。

アップデートされていない。総会での決定事項という形でアップデートし、それを一度も管理規約に反映させていないのだ。

 

「長期修繕計画の書類は?」  「ないです」

「前回の総会の資料で良いです」  「あ、そこに2枚くらいあった」

「本来はファイルで保管する項目です」  「そうなんですか」

 

「総会資料は」  「これです」

「抜けがありますね」  「はい」

 

「理事会資料は」  「うち、理事会やってません」

「う~ん」  「・・・」

 

「管理委託契約書」  「あ、あります!」

 

「管理費・修繕積立金の未収金一覧表」  「ないですが、こんなのなら。月次資料ですが」

「抜けがひどいですね」  「はい~ぃ」

 

「工事報告書」  「これはファイルになってます!」

「抜けが凄い。最新が2年前ですが?」  「あ、はい~ぃ」

 

「法定点検の報告書」  「これらでしょうか?」

 

「竣工図書一式」  「ないんです~」

「ない? ないことはないでしょう」  「それが、どんなに探しても、ないんです~」

 

「消防設備点検報告書」  「はい、あります!」

 

「共用部保険資料」  「はい!」

 

「過去に保険の請求は?」  「わたしが住んで、5年はありません」

 

 

ダメ出しの連発だった。

たまに、ちゃんと書類があると、ほんの少し自分の声が高くなり、それが哀しかった。

 

 

 

 

◆大規模修繕工事のコンサルを~

 

それでもめげずに、私は、大規模修繕が近いことと、マンション管理士にコンサルしてもらおうと考えていること。

ついては、Oさんはそのようなことは行なっているのだろうか? と質問した。

 

「私は、そのようなコンサルは行なってません。大規模マンションの顧問が主な仕事なのです」

 

Oさんは、キレッキレのイケメンビジネスマンらしく、微笑みながら冷たい回答をした。

小規模マンションは対象外。

大規模修繕工事のときだけという単発仕事も、対象外。

 

笑顔で、一昨日来なさい、ということだ。

 

 

 

 

◆保険料は?

 

後日、届いた判定では、23点。

100点満点での23点。判定区分はB。

このBは、A.B.CのBではない。S.A.BのBだ。

 

優・可・否なら、否だ。

 

ダメダメ管理組合と認定された。

当然の結果で、はじめからわかってはいたものの、それでもヘコんだ。

 

当然、保険料は見積金額より1円さえ下がることはなかった。

 

 

 

 

◆決意

 

僕は、我がマンションの管理を向上させる。

具体的には、5年後、この同じ診断でSを取る。

 

もう1つ。

まずは、臨時総会で保険を見直し節約する。