ナイス保険サービスの小堺さんから、マンション管理士による『マンション管理適正化診断』を受けて欲しいと言われていた。
保険見積り提出のE社は、その診断結果次第では、大幅に保険料が安くなるというのだ。
これは理にかなっていると思う。管理組合の管理がちゃんとしている場合と、逆にいい加減な管理の場合では、保険金の必要な事故の発生確率も、発生した場合の損害金の金額も、共に全く違うものになるはずだからだ。
ただ、うちは管理会社に管理を丸投げしてきた管理組合だ。要するに【いい加減な管理組合】の代表例だ。
「うちは、管理会社に任せきりの管理組合で、書類整理もままならない現状です」
と説明し、「おそらくは安くなったりはしないはずです」と僕は言ったのだが、小堺さんは「それでもなお」という。
「診断は無料」「診断は、今後の管理組合活動に役立つ」というのが、小堺さんのおススメの理由だった。
時間調整や対応など、やや面倒と思ったが行なうことにした。そのマンション管理士の訪問が、今日の午後にあるのだ。
◆マンション管理士とは
私は、マンション管理士というものを知らない。そこでまず、インターネットで調べてみた。
マンション管理士とは、マンションの管理に関する専門的知識を持って管理組合の運営や、大規模修繕工事等の建物に関わる技術的な問題など、マンションの維持・管理に関する助言や指導といったコンサルティング業務を行う専門家です。
上記は、マイナビミドルシニアマガジンからの引用だ。
大規模修繕工事と絡めて、さらにネット検索してみると、どうやら私には重要な気がする。
大規模修繕工事を、管理会社の三葉に任せないとなると、おそらくは三葉からのサポートがなくなる。施工会社との様々なやり取りを理事長が担うのは、あまりにも負担が大きすぎる。また、施工会社を選ぶのにもいったいどこが良いのかさえ見当もつかない。今は『三葉ではダメだ』と分かっているだけなのだ。
誰もが知る超大手なら、インターネットで問合せの電話番号はわかるだろう。しかし、そんな超大手がわずか25戸のマンションに興味は持たないだろうし、工事費用もメチャクチャ高そうだ。
ちょくちょくポスト投函される黄色いチラシ。「管理組合様へ 大規模修繕工事を管理会社に任せてはいけません」という見出し。妻が「問い合わせてみたら?」という。しかし、私はそのチラシからは胡散臭さを感じるのだ。営業という名の詐欺を行なう企業の、独特のチラシのような気がして、どうしても電話する気になれない。
そこで、地元のマンション管理士を探した。なかなかわかりやすいサイトで情報提供をしているマンション管理士だ。他にも探すが、地方都市では見つからなかった。東京なら何人か見つかるのだが。
選択の余地がなく、地元のマンション管理士に電話した。すると電話ではなく、直接面談で相談に応じてくれるという。無料でだ。
相談内容は、
①大規模修繕工事を控えている
②管理会社にやらせたくない
③相見積もりをとり管理組合で選びたい
④管理会社という専門家のサポートがなくなるので、なにかとハードルが高い
⑤そこでマンション管理士に入ってもらうことは可能か
⑥費用はいくらか
⑦決めるのは総会になる、そこまではプレゼンなども無料だろうか
などとメモ書きした。
その面談が今日の午前中なのだ。
そう。私は今日、2人のマンション管理士に合うのだ。
◆マンション管理士① Mさん
Mさんの事務所に着いた。このビルは、どうやらレンタル事務所だ。コワーキングスペースというのがこれかも知れない。よくわからないが。
受付の方に個室まで案内され少し待つと、思った以上におじいさんのMさんが現れた。
全て無料で、用意した質問に十分すぎる回答をいただけた。その業界の人だから、怪しいチラシも「詐欺です。業界では有名です」と、一刀両断した。大規模修繕工事のコンサル費用も決して高くない。
しかし、Mさんは説明が下手だ。私が上手に質問したり上手に聞いたから、それで意思疎通が取れたところがあるのだ。
この頼りなさでは、管理組合員の賛同が難しいのではないか? そうなると理事長はメチャクチャ大変なんだが、そこを管理組合員がわかってくれるだろうか? かといって、この頼りないマンション管理士を僕が推すのか? このおじいさんへの苦情で僕が忙しくなる、そんな映像が浮かんでしまった。
私は、午後に会うマンション管理士に期待した。
地元だし、仕事が増えるのは向こうも喜ぶのではないか?
午後は、保険のための管理組合の診断だが、ことが終わったら「大規模修繕工事のコンサルも」と提案してみよう。
マンション管理士を大規模修繕工事に加えたいが、あのおじいさん、Mさんでは問題だ。
あのおじいさんが、あんなにもわかりやすい記事のサイトを作ったとは思えない。どんなカラクリなんだろうか?