我が家のインターホンが鳴った。
いつもと異なるのは、エントランスからではないこと。玄関からなのだ。
何戸かの荷物を抱えた宅配業者が、エントランスで手抜きをしたのだろうか?
妻が対応に出た。
数分話して戻ってきた。手には書類がある。
「どうしたの?」
「前の理事長だった小谷さんよ。定期総会の議事録にハンコを押せないって」
「え?」
「前期の役員で、総会に出席していた人にハンコをもらいに行ったんだって。まずは滝井さんちに」
「うん」
「そしたら、滝井さんが『これ内容が違うと思うから、私はハンコを押せないわ』って言ったんですって」
「なんでだろう?」
「ここがおかしいって。『新しい理事長さんに任せますので』って押しつけられたわ~」
妻の示す議事録を読むと、総会では【保留】とし再検討となったはずの共用部の損害保険契約が、これまでと同じ保険会社での更新が【承認】されたとなっていた。
これには驚いた。
議事録に、虚偽が記載されているのだ。
こんな管理会社ってあるのだろうか? いや、現にあるのだ。
私は今、その信じられない状況に直面している。