!全力ネタバレ注意です!





少し前になりますが、音楽劇『浅草キッド』愛知千秋楽公演を観てきました。


ドラマ『火花』を観て、林遣都さんの芸人役がまた観てみたい、と思ったこと。


稲葉友さん、森永悠希さんという、私の好きな若手俳優さんが出演していること。

松下優也さん、『黒執事』以来拝見するのはお久し振りですが、またあの歌声を聴いてみたい。


山本耕史さん、堀北真希さんがあんたと結婚して引退しちゃったじゃないの!ホマキが幸せならOKです……と言いたいけどやっぱりちょっとまだ複雑……という私的な理由から、彼について語るといつも「う〜ん……」と言ってしまうんですが、『シン・ウルトラマン』も『きのう何食べた?』も、確かにいい芝居なんだよなぁ……と認めざるを得ない、そんな人というイメージでした(嫌いとかではないですよ!)


諸事情ありまして、チケットをギリギリまで発券していなかったんですが、発券してみたらとてもキャスト先行で取ったとは思えない席でビビりました。いやさすがにあの劇場でこの席はお芝居観る席じゃないでしょう、と、一瞬観劇そのものを躊躇うレベルの席でした。

ちなみに、第一希望は土曜でエントリーしてたんですが、気がつけば千秋楽になってました。これはこれでありがたかったです。


うーん、とんでもないクソ席だなー、と思いながらNetflix版の『浅草キッド』を予習するかどうか悩んでいると、映画版『火花』が配信終了とのことで、なんとはなしに観てみました。

ドラマ版がよすぎて、映画版は『よくできたダイジェスト版』という感じではありましたが、私はこれはこれでアリかな?と思いましたが、やはり駆け足過ぎて誰にも感情移入できなかったなぁ……と思いながら映画が終わると、桐谷健太さんと菅田将暉さんの歌う『浅草キッド』が流れるんですね。

私ここで初めてこの歌を聴いたんですけど、歌詞といい、2人の声といい、最後の最後エンディングで泣かされました(エンディングだけ歌を聴くために5回位巻き戻しました)


結局映画版『浅草キッド』は観ないまま、舞台を観ることにしました(なりました、とも言う)


オープニングから活気溢れる、華やかな舞台。

学生運動、林遣都さん演じる青年、武。

師匠の千三郎、山本耕史さん。

この千三郎を演じている山本耕史さんが、今まで私の見たことのない山本耕史さんで、うーん、やっぱりこの人演技は凄いんだなと改めて。

ビートたけしさんの物真似って、いろんな人がやってると思うんですけど、なんというか千三郎はたけし以上にたけしなんですよ。


私は武役をやっている林遣都さんがたけしっぽい演技をするのかと思っていたんですが、林遣都さんはいい意味で林遣都さんらしい演技でした。

山本さん演じる千三郎が時々ゾッとするほど『ビートたけし』だったことが強烈に印象に残っています。


人情味溢れるストーリーやシーン、それと対比させるかのような、残酷な展開。

お話もテンポよく、歌やダンス、バンド演奏など、演技以外にも見どころが沢山でした。

山本さん、林さんのタップダンスも素敵でしたし、松下さんの歌声は私が観た何年も前より、ずっと艶を増し安定して美しくも残酷で素晴らしかったです。

稲葉さんはもう、存在自体が悲しいキャラで、彼の心の叫びそのもののような歌声は胸に響きました。

あと千三郎夫婦の、山本さんと紺野まひるさんのデュエット。お二人とも歌が上手いし、息ピッタリでここも凄くよかったなぁ。


武が成功していくというサクセスストーリーというよりは、やはり武と主に師匠の千三郎や、周りの人との絆や交流が主に描かれていたのと、やはり人生の波瀾万丈さ故か、千三郎の生涯や人となりについて、かなり丁寧に描いてた舞台だったなと思いました。


最後千三郎が呆気なく死んでしまい(この演出と演技も、死に様の呆気なさを凄まじい魅せ方にしてたと思います)千三郎の死を知った武が、森永さん演じる井上にロケ先から電話をかけ、録音して欲しい、と頼んで歌うのが『浅草キッド』でした。


ちなみにこの辺り含めて私は3回位号泣しながら観ていたんですが、周りのお客さん誰も泣いてなくてちょっと恥ずかしかったです。


最後、大千秋楽ということで、オープニングでも歌っていた歌を歌いながら山本さん、林さんのタップダンスのセッションがあって、それを観ながら私は千三郎の観た幸せな夢みたいだなぁ……と思ってまた静かに号泣したんですが。


映像化の予定は残念ながらないそうなのですが、豪華キャストで、本当に素敵な舞台でした。


映画の方もそのうち観てみようと思います。

これで「大泉洋さんがね〜、凄くてたけしよりたけしなんだよね」とか言ってたら笑って下さい(勿論大泉洋さんも凄い俳優さんなので、十分その可能性はあります)


私は稲葉友さんが好きという贔屓目もあって、マーキーという『才能のない』キャラクターの気持ちが凄くよく分かるというか、一番共感できるキャラクターだったかなと思います。

勿論千三郎の波瀾万丈な人生、生き方には魅了されるんですが、大多数の人はきっとマーキーと同じ、いや、行動できているだけマーキーは普通の人よりずっと凄いよ、と思いながら観ていました。

彼があんな形で退場してしまったことはショックでしたが、物語の一部として凄く大事なキャラだったなと思いました。後は悪役……とも言い切れない、松下さん演じる高山ですね。

描かれてはいませんが、彼は彼できっと成功するまでに色々あったし葛藤もどこかであったんじゃないかなぁ……と思って、憎みきれないキャラクターでした。


繰り返しになってしまいますが、千三郎の過去も劇中でしっかりと描かれているので、まるで作品そのものが千三郎の走馬灯みたいだったなぁ……と思いました。


いや、ほんとなんで観終わったあとお客さん平気な顔して出てきてたんだろう?最後、大量のカラフルな紙吹雪がキャストの皆さんの上に降り注いで、本当に夢を見てるみたいだったなぁ……と思いました。


文字数だけはやたら多い割にペラペラの感想ですみません。

再演があれば、また是非観たいと思う舞台でした。