染師・まいまい です
謙信公祭関連で上杉謙信の陣幕と上杉謙信の軍旗を染めましたよ
納品・打ち合わせのため現地へ行ってきました
そしていよいよ謙信公祭
ブログテーマ名 2015年謙信公祭の旅です
4 自作・上杉謙信の陣幕と軍旗 作品解説 (お祭り編)
喫茶去さんがステキに飾ってくださいました
ありがとうございます
さて、自作のこれらを解説します
上杉謙信の軍旗「懸かり乱れ龍」↑
「龍」と書いてあります
この旗が揚がったときは突撃を意味したそうですね
KIssaco..はGACKTさんの直筆を手描きで模写
綿100%
厚手の生成(きなり・クリームがかった色の生地のこと)です
「生成って、かっこいいな、生成にしてみたい!」とマスターからのご提案
「では、軍旗を生成にしましょう!陣幕はやはり、真っ白の方があのお座敷に
かっこよく映えると思います。」と私
この龍の黒色の材料は「顔料」です
身近なものでは、Tシャツのプリント部分や、「絵の具」と呼ばれるものは、大抵、顔料です
顔料は染料より絶対的に色あせに強いのです
顔料の風合いは不透明なので厚手の生地と相性がいいです
この厚手の生地は糊抜きをしても顔料が染みこみにくい素材だったので、
顔料に浸透剤を混ぜて、手描きしました
裏も描いています
顔料が染みこみやすくなりましたが、染みこみやすいということは、にじみやすいということ
画際がブヨブヨしないように、特に気を配ります
普段使っている友禅の挿し刷毛や彩色筆で、
「龍」の筆運びの美しいフォルムやピシッとした緊張感を出します
つづいて・・・・
上杉謙信の陣幕
家紋の名前は「上杉笹」
笹に雀の文様
生き物が対になっている場合、大抵、阿吽になっていますが、
これも微妙に阿吽になっています
上部の二本線は「引両・ひきりょう」という文様
「謙信公祭」の様式にならい、引両を入れています
実際の陣幕も念のため知りたくて調べました
現物の有無、現存が確認されている川中島合戦図屏風を全て調べたり、上杉謙信ゆかりの資料館や博物館に問合せしましたが結局、謙信公は引両入りの陣幕を使ったことがあるのかは、わかりませんでした
(武田信玄はよく引両を使っていたようですが・・・)
描かれた謙信公の陣幕は、これ見よがしに天皇家の紋を使い、自身の上杉笹は微々たるものです
そして、どれも引両は見当たりませんでした
けれど謙信公には引両を使える正当な理由があります
お金持ちだった謙信公は、足利将軍のパトロンだったほどの関係ですからね…
この文様は足利将軍家にまつわる文様で、将軍に許可をもらって自分たちの幕や旗などにこぞって加えた訳です…
そんなわけで…
二本線の太さも特に形式があるわけではないようですから、マスターに相談の上、
私の好きなバランスにしました
KIssaco..はGACKTさんの直筆を手描きで模写
綿100%
陣幕は染料で染めています
この生地には黒に透明感がほしいので染料にしました
様々な染料があるのですが、他の染料に比べ、
色あせにとても強く、色が鮮やかなのが特徴の染料を選んで染めています
こちらも、刷り込み刷毛、友禅挿し刷毛、彩色筆で、すべて手描きで染めています
この染料にはアルギン酸の糊を入れます
アルギン酸って、昆布、ワカメのあのヌルヌルです
なので筆運びもツルツル滑ります
ヌルヌル、ドボドボ、しながら、ピシッと緊張感のある形を描きます
裏側も染めています