大河ドラマ再登場!絵師・岩佐又兵衛 | 江戸手描き友禅「染工房 まいむらさき」のそめいろ日記

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栃木県小山市でそめもの教室の講師をやっています。
染め物のコトや、じんくん(秋田犬)のコト、歴史、芸術、美術、日々の色々を綴っていきます。

染師・まいまい です




むごたらしい表現が含まれます
食事中や苦手な方はご注意ください



岩佐 又兵衛(いわさ またべえ)
という絵師のお話です




大河ドラマご覧になってますか



ついに、行方しれずの幼い岩佐又兵衛が
再登場しましたね

天才的に絵が上手で絵師を夢見る
利発な子に育っていました


父・荒木村重と再会しました・・・

父と別れたとき、又兵衛は乳飲み子で
父のことを知りません

過去に何があったのかも・・・



上記はドラマでなので少し話をソフトに
したのでしょう

父と生き別れた当時、実際は、
又兵衛は2歳ぐらいだったそうです

幼すぎる又兵衛にとっても、
残酷な出来事として記憶されたはずです




昔、何があったのか・・・



大河ドラマ・軍師 官兵衛で
お馴染みの荒木村重(むらしげ)

織田信長に謀反を起こし、
信長に一族30人余りを皆殺しにされます

楊貴妃に喩えられた美貌の妻、ダシは、
21歳という若さで処刑されました

(自刃させず処刑とは、なんとむごい…
女性の処刑は凌辱してから執行されるのだとか…)

このとき、2歳になる息子だけが乳母の
働きにより、奇跡的に逃げ、助かります
(ドラマでは、乳飲み子)



この子こそ、浮世絵の元祖と後生の研究者から
言われる、絵師・岩佐又兵衛です



この絵は又兵衛の作です


山中常磐物語絵巻


この絵は物語の絵で
源義経の絶世の美女である母、常磐(ときわ)が
賊に襲われ身包みはがされ、惨殺されてしまう
シーン

上図は息も絶え絶えの脱力した常磐を
宿屋の夫婦が介抱しているようす



まさに、又兵衛は、自身の母・だし を
描いているのでしょう


止めどなく流れ出る血は
又兵衛の涙のよう…









画風通り、
又兵衛は「憂き世 又兵衛」とも呼ばれます




母の死を知った義経(牛若丸)が
仇討ちしているようす


凄惨な現場を知らない私ですら、
惨殺シーンが、血しぶきが、
なんとも生々しくリアルに感じます

飛び散る鮮血と共に憎しみが
ほとばしっています



この絵師の真骨頂ですね



ここまでリアルなのは、惨劇を実際に
体験しているからだと思います

幼いころの一族皆殺しの体験は
彼の中でトラウマになり、誇張もされたでしょう


悲惨な体験をカウンセラーに聞いてもらう
心のケアの療法がありますが、

又兵衛の場合、
描いて吐き出すことがカウンセリングに
なっていたのだと感じます








常磐を殺すこの賊の高揚した顔、
鬼畜の形相です

人を殺すことに興奮するなんて
人間は恐ろしい生き物です







洛中洛外図屏風・舟木本


又兵衛は
洛中洛外図屏風・舟木本を描いた人です


この画風は一変して明るく楽しいようすです
「浮き世又兵衛」ともよばれます

こっそり、お坊さんが女性にイチャイチャ
していたりとユーモラスに人々を描いていますね





命からがら逃げた幼い又兵衛・・・

母方の姓、岩佐に改名していました・・・



どのようにして育ち、
絵師の道を歩むことになったのかは
ほとんど解ってないそうですね

謎の多い人物だそうです・・・




生き残ったあと大成してよかったです


10歳のころ秀吉の茶会に顔を出して
いるそうですよ

ドラマが楽しみです





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