ある日、クラゲのこどもがお出かけしました
どこへって?
いままでずっと水の中をゆらゆらしていただけなので
どこかに行きたいなんて思ってもいませんでした
ただ潮の流れが急に変わって
ぐるんと回ったと思ったら知らない場所に浮かんでいたんです


波乗りをしていた女の子がびっくりした顔で
おとうさーん、きてーっと叫んでいました


その後はしばらくお兄ちゃんと遊んだり
おじいちゃんの椅子で休んだりして暮らしました


寒い夜の日がめぐってきて
まぁるく輝く月を見つけたとき
どこかがきゅんとしました

ここはいつもの海じゃないって
初めて気がついたのです


ここは…
どこでもない場所

小っちゃなガラスのクラゲが絵本の上を転がったおはなしでした。。