明るい出口が見えているのに
いくら歩いてもたどり着けない

ということは
自分は歩いていないんじゃないかと思い
尻がぐっと硬くなるまで力を入れて踏み出してみる

一歩一歩ちゃんと歩いていることに安心する

だが、出口は一向に近づいてこない
何かが背中を引っ張っているのか
地面がフィットネスクラブのマシンのように
後ろへ後ろへと動き続けているのか

気がつくと
出口の階段を上がるあの男も
少しも上がっていかない

下りのエスカレーターを逆に上っていくように
足は動いているが、いつまでもそこにいて動かない
もうずいぶん疲れているようだ

よし、追いつくぞ
オレはまだ疲れていない
追い抜くぞ
出口を駆け上ってやる

尻だけでなく腕も腹もかかとも何もかもに力を入れ
思い切り突進してみると
少しだけ空間を押しのける感じがした