
「2個揺らすと反対側も2個揺れるんだよね、トント。」
「そうなります、楽しいですね。」
「何度やっても面白いけど、ねぇトントそれが生命とどんな関係があるの?」
僕はもどかしくなってトントに尋ねた。
「1個揺らした時、目の前にある動かない球はいくつですか?」
「4個だよ。」
「いつもですか?」
「いつもだよ。違う球になるけどね。」
「宇宙君、それです。いつも同じだけれど違う。それが大切なことなのです。」
トントは玩具から離れて、体を構成している細胞の話とルドルフ・シェーンハイマーという科学者が行った実験のことを話し始めた。
彼は食べ物に含まれる窒素原子に特殊な方法で印を付けた。
その後その食べ物が消化されどうなるか。
成熟したネズミに3日間だけ餌として与え窒素原子はどこへ行くのか観察してみたのだ。
原子の直径はおよそ百億分の1メートル(オングストローム)
生きている細胞も原子で出来ているが、その直径は大体30万~40万オングストローム、
もちろんどちらも肉眼では見ることができない。
そんな小さな物が集まって人間の体も草も石ころも全てのものが構成されている。この手も足も爪も涙さえも小さなつぶつぶの集合体だ。
ところでその食べ物はどうなったか。
もちろん体内で消化されたのだが、
排泄された糞も尿も血液も内臓も全てを顕微鏡で詳細に調べてみたところ、驚くべき事が分かったのだ。
