「ちょっと電話してくるね。」

そう言ってママは病室を出て行った。
歩きながら首をぐるぐるっと回しているのが見えた。
今日は疲れたわぁって言いながらママがよくする仕草だ。

一人になった僕は、針の刺さった腕を動かさないようにして少しだけ体をずらしてみた。大きな病院らしい。
窓から遠くの景色が見えた。5階か6階かもっと高いところかも知れない。

誰がかけたのか小さなカレンダーが一つぶら下がっている。きれいな海の絵にペプシコーラのマークが付いている。
あれ?でも先月のカレンダーのままだ。
もう退院してしまった人が忘れていったのかも知れない。

廊下を誰かが大きな声を出しながら走っている。看護婦さんらしい。誰かが大変なのかな。
今何時なんだろう?小さな机の上にはお茶のペットボトルが一つあるだけで時計はない。ぐるっと見回して見たけれど壁の時計もない。

点滴の薬が、ぽたっぽたっと落ちている。あと何回落ちたら終わるのかな。
数えているうちにまた眠ってしまったようだ。


数十台の大型モニターが落ち着いた発色でデータを表示している。近代的なコントロールセンターだ。任務に就いているコマンダーは2名。
ハートマンは天井から差し込んだファイバースコープで全体の配置を確認した。
つづく