
ガシ!
はっきりと音が聞こえました
やはりそれは起きてしまったのです
振りまいていた愛嬌は一瞬のうちに消え失せ
苦痛に歪む顔
肩から外れたシャネルのバッグが
歩道の石をこするのを辛うじて防いだ反射神経に
ちょっとだけ感心しましたが…
おーい、だから心配したのに
(関係ねーよってか)
恨めしそうに振り返った女の視線を
全く無視して大魔神は進む。
アレ、多分骨折したと思います。
大魔神が肩をわずかに後ろに引いたとき
避けたと思った女が直球勝負をしかけたのを
反動を付けて打ち返したその瞬間を
マイムは見逃さなかったのでした。
おわり。