
最後は聞き取れなかったが、ここから脱出するためのヒントを教えようとしてくれたんだ。絵と水の関係から左と言われた。
とにかくこのままじゃ生き埋めになっちゃう。
パニックになりそうな気持ちを懸命に抑えて、左の方向へと逃げた。
目の前のブロックが沈み込みくぐれるほどの穴が空いた。腰をかがめて逃げ込む。
考えている余裕はない。今までいた空間が背後で大音響と共に跡形もなく崩れた。
生き埋めは免れたが外に出られたわけではない。さっきの空間よりずっと狭い部屋だ。上方から薄明かりが差し込んでいる。
パラパラと小石が落ちてきたかと思うとすぐに大きな震動が襲い、背後から再びブロックが崩れ始めた。
一時も立ち止まっていられない。また左へ走った。
不思議なことに宇宙が進む方向は崩れるのが遅かった。逃げ込む度に新しい部屋が現れ、すぐにまた崩れた。
同じ事が4回繰り返された後、急に静寂が訪れた。