
何とかしなくっちゃ。
起き上がり「おーい!」と叫んでみた。
反応はない。
ここにいるって事は、何処かに入り口があるはずだ。
ドアのようなものはないか岩肌を観察し、押してみたりしながらドーム状の空間を一回りした。
何もない。
光の差し込む場所を見る。あそこまで上れたら出られるかも知れない。でもどうやって?目をこらすと、何かが揺れている。ヒモのようなものだ。
しばらく見つめていると、それがするすると降りてきた。
ツルにからみついた木の枝と葉だ。ツルは太い凧糸ほどの太さしかなく、たとえ腕の力に自信があってもそれを伝って上ることはできないだろう。
強く引くと葉っぱが数枚ちぎれて落ちた。剥き出しになったツルに粒状の何かが付いている。
これは!ヘッドセットじゃないか?
二粒は耳へもう一つは口の位置へ。ぴったりだ。セットしてみる。
「宇宙君ね。」
すぐに声が聞こえた。
「はい。」
「ヘッドセットだって分かってくれて良かったわ。」
「でも、僕なぜ?」
「今は黙って私の言うことを聞いて。とても大切なことを言うわ。いいわね。」
「うん、分かった。聞きます。」
「そう、偉いわ。私からあなたは見えないの。怪我もしていると思うけど、少しの間我慢してね。必ずここから助けてあげる。でも急がなけりゃ。時間がないの。」