今日はいつもより少しだけ早く起きた。
ママはもう少し寝てていいわよって言ったけど、眠くなかった。いつも通り顔を洗って、いつも通り着替えをして、いつも通り玄関の掃除をした。

外の空気は冷たくて気持ちよかった。お日様はまだ出ていないけれど、風は吹いていないので寒くない。ぽつりぽつりと浮いている雲の向こうに、僕の大好きな透明に近い水色の空がどこまでも広がっている。朝のお日様は空の高いところから少しずつ降りてくるのだろうか。

雲を見ていると、すごくゆっくりだけど動いている。形もだんだん変わっていく。雲がいくつか浮かんでいるとき、その中のひとつを自分で決めて、消えろ消えろって念じているといつの間にか消えるよって吉田先生が言っていた。本当かな。

深呼吸をすると息が白くなった。南極では白くならないんだと吉田先生がいつか教えてくれたのを思い出した。ペンギンが沢山いて氷だらけの寒いところなのにどうして息は白くならないんだろう。本当なのかなぁ?

あれ、どうして今日は吉田先生の言ったことばかり思い出すんだろう。

腕をグルグル回して、足の屈伸をして、ついでにケンケンパーをしてみた。夏にお寺の境内に集まってしたラジオ体操をちょっとだけやってみた。結構やり方も覚えていた。背伸びの時はかかとを上げてもふらふらしないでできた。しばらくやってなかったけど、今日の方が上手にできる気がした。

前と後ろに曲げる運動の時空が見えた。
あっ、さっきの雲が小さくなっている。犬の顔みたいな形だったのに、クリームパンになっちゃった。

「宇宙(ひろし)ー寒いのにお外で何してるの?風邪引くわよ。」
ママがご飯を食べるジェスチャーをしながら手招きをしている。