笑顔が待っていた。
ベッドメイキングの途中だったのか、向こう側にシーツを押し込もうと伸び上がり肩越しに振り向いた姿でじっと見つめている。他人が侵入しているというのに驚いたそぶりが全く無い。むしろ待っていたかのような表情だ。
「やあ、返事がなかったもんだから勝手に入っちゃってごめんね。」
「ハウ?」

ビロードのように深い光沢を見せる濃紺のミニスカートの上に、フリルのたっぷりとついた真っ白なエプロン、胸元のレースリボンに飾った小石ほどのレッドルビーがわずかに発光している。プレスの効いた、清潔感溢れるコスチューム。クリーニングソープの香りが漂うようだ。頭にはこれも真っ白なレースのメイドキャップがちょこんと乗っている。

見ているだけでドキドキしてしまうくらい愛らしく、しかもセクシーだ。
「メイドさんだね、他に誰かいるの?」
「ハウ?」
首を傾げて不思議そうな表情をしている。話しかける侵入者に少しも警戒している様子はない。
しかし言葉は通じないようだ。ハートマンは大きな身振りで外界と連絡する端末はないか訪ねた。
「ハウ、ハウ~。」
メイドはそう言って愛くるしい笑顔を惜しげもなく振りまきながら近付いてきた。   つづく