案内された控え室はとても居心地の良いものだった。
センスの良い部屋だ。金属で作られたもの、FRPやプラスチックスで形成されたものが見当たらない。
アンティークな置物、woodの壁、宗教画の描かれた天井、彫刻の上に螺鈿の細工が施されている。床以外はすべて自然素材のようだ。

数世紀前の地球の技術がまだ生かされている。すばらしい、GEARMAの特別な研究チームのワザなのだろうか。技術を持った辺境の惑星人を強制的に拉致して作業に当らせているのかも知れない。

鹿革のカウチにふかく体を埋める。わずかだが風を感じる。人工ではない、植物の光合成によって作られた酸素のようだ。目を閉じて深く吸い込んでみる。嫌味のないしっとりとした湿度だ。甘い香りは植物の花か。

アットホームな気持ちでくつろいだハートマンは目を閉じ大きく伸びをした。遠慮のない欠伸がそれにつづいた。柔らかな眠りに誘い込まれるような気持で、完全にリラックスする。任務を忘れてしまいそうだ。  つづく