今日は、本日オープンしたカフェにウキウキで行ってきましたので、そのレポートをと思ったのですが、

せっかくなので、京都ホームズの二人に行かせてみることにしました(*´艸`*)


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午前11時15分。

「それじゃあ、わたしはそろそろ」

店長は、書きかけの原稿を茶封筒に入れて立ち上がる。

「すまないね。ずっとここにいては、どうしても行き詰まってしまって」

ホームズさんと私に言い訳をするように話しながら店長に、そそくさと店を出て行った。

その足取りは、とても軽く、心なしかウキウキしているように見える。

「ランチ時ですし、もしかして店長、デートだったりして」

私は窓の外を眺めながら、ぽつりとつぶやいた。

というのも、店長は『梅園』も『スマートコーヒー』にも立ち寄らず、寺町通をまっすぐ北へと向かっていったからだ。

ホームズさんはカウンターの上にある卓上カレンダーに目を向けて、「どうでしょう?」と首を傾げる。

「あのウキウキした感じは、デートだと思うのですが」

そんな話をしながら見送ったあと、カップを片付けようとカウンターを見ると、店長のスマホが置かれたままであり、私はぎょっとした。

「店長、スマホを忘れてる!」
「まったく、相変わらずですね。すみませんが、きっとここにいると思うので、届けてもらっても良いですか?」

と、ホームズさんは、簡単な地図を書いて、差し出した。



──私はその地図を手に、『蔵』を出る。

その場所は、市役所の北西側であり、『ホテルリソルトリニティ京都御池麸屋町』の1階と記されていた。

時間にして、徒歩十分程度。
やがて、目的地である『BLUE BOOKs café』というお洒落なカフェが目に入る。



どうやら、オープンして間もないようだ。
店内は光が溢れながらも、落ち着いた雰囲気であり、店長やホームズさんが好みそうなカフェだった。


端の席に店長の姿を見つけて、

「ホントにいた」

と、私の口から間の抜けた声が洩れた。
店長は一人であり、生演奏に耳を傾けて、浸るように目を細めている。


今、声をかけるのはしのびなく、店の外でホームズさんに電話をかけて報告することにした。

「あ、ホームズさん。店長、本当にいました」
『やっぱり、そこでしたか』
「どうして、分かったんですか?」
『父は「ブルーノート」が好きでしてね」

ブルーノートとは、ニューヨーク発のジャズクラブであり、東京では青山にある。

『以前、大阪にも「ブルーノート」があったんですが、閉店になってしまい、とても残念がっていたんです。
それが、この秋に「ブルーノート」のカフェ「BLUE BOOKs café」が近くにオープンすると聞いてから、とても嬉しそうにしていたんですよ。
今日はオープンの初日なんです』

「そうだったんですね」

私は得心して、大きく頷いた。

『良かったら、葵さんも父とランチをしてきてください』
「え、いいんですか?」
『ええ、もちろん』

そう続けたホームズさんに、私は「ありがとうございます」と頷いて、電話を切る。

ちょうど演奏が終わったところであり、私は店長の元に歩み寄った。

「店長」

私の姿に店長は驚いた様子だったけれど、手にしてるスマホを見て、「ああ」と額に手を当てた。

「すまないね、葵さん」
「いえ、どうしてここが分かったのか、不思議ですか?」

私がいたずらっぽく笑って尋ねると、

「いや、清貴だろう?」

と、店長は肩を上下させる。

「はい、きっとここだろうって」
「あの子にはなんでもお見通しだからね。そうだ、葵さんもお昼はまだでしょう?
良かったら、何か頼みませんか?」
「はい、嬉しいです」

私は店長の正面に座って、ランチを注文する。

ジャズが流れるゆったりとした店内。
ブックスカフェというだけあって、本の販売もしていた。



コーヒーもランチも美味しくて、目尻が下がる。

「素敵なお店ですね。『蔵』からも近いし、ファンになりました」
「それは良かった」

そんな話をしていると、ホームズさんからメッセージが入った。

『BLUE BOOKs caféは、夜11時まで営業しているそうです。近々、閉店後に行きましょう』

そんなメッセージに、夜の『BLUE BOOKs café』も素敵に違いない、と私は店内を目だけで見回す。

『今度は、僕とデートしてくださいね』

そう続けられたメッセージに頬が熱くなった。

「はい、ぜひ」

と、返事を送って、きっと赤くなっているだろう頬を隠すように、私は美味しいコーヒーを口に運んだ。

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BLUE BOOKs café[LINK


ACCESS : 
京都市営地下鉄 東西線「京都市役所前駅」
ゼスト御池9番出口より徒歩2分

TEL :075-252-5151

OPEN : 7:00 ~ 23:00

CLOSE : 不定休


清貴「とても素敵なカフェなのでぜひ」

(※生演奏は時々だそうです)