今日、5月3日は
寺町三条シリーズの葵の誕生日でして、

昨日からお祝いのメッセージをいただいたり、ハッシュタグ( #真城葵2017生誕祭 )で呟いていただけて、とても嬉しく思います!

{EED36555-0A46-46B1-A912-6365E509CA04}
ありがとうございます!!
(〃ノωノ)

記念に1巻から最新刊までの葵ちゃんの姿をまとめてみました✨

{D9A3B372-C35B-4264-881A-EE36A0D26301}

可愛いです(*´Д`*)

ヤマウチ先生、ありがとうございます!

こう見ると、
大人っぽくなってますよね〜
(絵師様はさすがです)


バースデー記念と感謝御礼に
ちょっぴりSSをお届けします


*************

6巻&6.5巻で描いた
葵の誕生日パーティの時のこと

*************



ホームズさんの即席美術講座、
そして、謎解き宝探しと大いに盛り上がった私の誕生日パーティも今は少し落ち着いて、

皆はそれぞれ、楽しげに過ごしている。

オーナーは柳原先生や美恵子さん、好江さんと語らい、

小松さん親子は上田さんと、香織は佐織さん、利休くんと楽しげに話していた。

「…………」

そういえば、ホームズさんはどこだろう?

ホールを見回すも、彼の姿は見えない。

ここだろうか?
と、バルコニーに出るも、ホームズさんの姿はなかった。

ホールは熱気に溢れていたので、風がとても気持ち良い。

心地良さに目を細めながら、夜空を仰ぐと、半分の月がとても美しかった。

「……綺麗」

ぽつりと洩らすと、

「葵さん、『月がとても綺麗ですね』」

背後で声がして、私は弾かれたように振り返る。

そこには、ホームズさん。
口許に笑みを湛えて、こちらを見ている。

『月がとても綺麗ですね』

その言葉に、頬が熱くなって、思わず俯くとホームズさんはパチリと目を開いた。

「どうされました?」

「え、あの、それって、もしかしたら、その、今のって『夏目漱石』かなと」

俯いたままつぶやくと、ホームズさんは「え」と動きを止める。

「葵さん、この言葉が漱石の引用だと知っているんですか?」

「あ、はい」

かつて、夏目漱石が英語を教えていた時、生徒が『アイラブユー』を『愛しています』と訳すると、『日本人はそんなことは言わない。「月が綺麗ですね」とでも訳しておきなさい』と言ったというエピソード。

つまり、夏目漱石の訳において『月が綺麗ですね』は、愛の告白なのだ。

私の返答に、ホームズさんは鳩が豆鉄砲を食らったような顔をして、身を乗り出す。

「そ、それじゃあ、僕が以前『月が綺麗ですね』と言ったのをご存じですか?」

「以前って、いつですか?」

「斎藤邸で、円生とやり合った後です」

「……ああ」

言ってましたね、と私は頷く。

「あの時はどう思われましたか?」

「えっと、月が綺麗でしたし、そのままの気持ちを口にしたのかと」

そう答えると、ホームズさんは「そうですか」と苦笑してうな垂れる。

「も、もしかして、漱石の引用だったんですか?」

「………はい。
特別な反応がなかったので、あなたは漱石のエピソードをご存じないのかと」


あの時のあの言葉が漱石からの引用だったなんて!

嬉しいけれど、『本当に!?』という戸惑いが勝る。

「まさか、ご存じの上でのスルーだったとは、やはり葵さんは、無自覚にひどいですね」

「そんな!知ってても、そこでそんな風には思いませんよ!だってホームズさんはいつだって『花が綺麗ですね』『星が綺麗ですね』『この壺、美しいですね』と、いつだって何かを褒めてるじゃないですか!」

「そうかもしれませんが、やっぱり葵さんは無自覚にひどいですよ。『安定の葵さん』ですね」

と、少し意地悪な横目を見せる。

「ええ!?ホームズさんが分かりにくすぎですよ」

戸惑いの声を上げたその時、

「いや、ホームズ。
俺は葵ちゃんの気持ちに賛同するな」

と、バルコニーに秋人さんが現れた。

どうやら、話を聞いていたようだ。

「……突然現れてなんですか」

と、ホームズさんは冷ややかに一瞥をくれる。

「だってよ、『月が綺麗ですね』が、愛してるの意って、なんだそれ。分かりにくすぎたろ、その比喩、面倒くせぇ」

秋人さんは頭の後ろに手を組んで、月を眺める。

「あなたには、この情緒が分からないんですよ」

「情緒って、んなもん、いらねぇし。
だったら、なんだよ、『あの月に行ってみたいですね』って言ったら、エロい誘いってことか?」

「……あなたは、本当に」

と、ホームズさんは、額に手を当てる。

秋人さんは「おっ、そうだ」と何かを思い出したように、私の方を向いた。

「葵ちゃん、今日から18だし、いろいろ覚悟しろよ」

「覚悟、ですか?」

「ああ、ホームズの奴、今や最強の免罪符を手にしてるからな」

「最強の免罪符?」

「そう。もう、ホームズはマジで大変、ギリギリのライン、爆発寸前なんだ。なっ、ホームズ」

と秋人さんは振り返って、ホームズさんを見るなり、びくんと体を震わせる。

ホームズさんは満面の笑みで、

「秋人さん、あっちでお話しましょうか」

と秋人さんの肩に手を乗せた。

「あー、いや。俺はそろそろ」

「いえいえ、ああ、秋人さん。随分と肩が凝っているんですね。ここに肩凝りのツボがあるのをご存じですか?少し痛いですが、効きますよ」

そう言って、ホームズさんは秋人さんの肩をグッとつかむ。

うぎゃあああああ

と、秋人さんの汚い悲鳴がバルコニーに響いた、

それは、楽しい誕生日の夜。


〜fin〜
**************

安定のしょうもなさで失礼いたしました
(*´艸`*)

ありがとうございます✨