先日

 

お隣のおじいちゃんが亡くなった。


 

亡くなる前の日に

 回覧板を持って行った時には

 

庭先を歩いておられて

 優しく受け取ってくださった。




 お願いします、と

 渡して帰りながら

 

あ、いつもうちの周りの道まで

草刈りやら剪定やら

してくださってありがとうございます

 

って

 

ちゃんと面と向かって言ったことあったっけなー私。。。

 

と思った。

 

 

 

いつもすれ違う時、私は車に乗っているので

 

車の中からしかお礼を言ったことがない。

 

 

でも、今更また振り返って

 

戻って言うのもなんだか変だな

 

 

振り返らずに

 

お礼も言わずに

 

また今度、チャンスがあったら言おう

 

と思いながら帰った。

 

 

 

そしたら

 

その二日後に

 

白い菊の花束を持った見知らぬ人が

訪ねてきて


「...この度は誠にご愁傷様でございました...」

 

と、言われた。



何のことかと思い聞けば

その人は葬儀屋さんで、

 

お隣のおじいちゃんが亡くなったと。

 



 

え。。。。???

 

 

一昨日、お元気そうだったけど?????

 

 

本当にあのおじいちゃんなのだろうか?




 

 

以前に近所のおばあちゃんが亡くなった時には

連絡が回って来たので

 

数日、お知らせが回って来るのを待ったが

 

何故か来なかった。


 

代わりに、今度は葬儀屋さんでなくお饅頭屋さんがうちに来て

 

「○○さんのお宅は?」

 

と聞かれた。


葬儀のお饅頭を届けに来た、と。


 

あーやっぱりそうだったのか…

 

あんなにお元気そうだったのに。。。

 

 そして

週末にはお参りの車がひっきりなしだった。

 

 

私は週が明けるのを待って、

 

あまりお客さんのいないであろう時間帯を見計らって

お香典を持って行った。



 

お年寄りの集まりの席で突然倒れて

 

そのままだったらしい。

 

 

帰り道、この間、日頃のお礼をきちんと言わなかったのが

悔やまれた。

 

伝えられる時に伝えなければ。

 

なんでも

やれる時にやらなければ。

 

と、思った。

 

 

中学生だけどまだ幼い四男が

包みを開けたがるかなと思い、

 

お返しの品の包みをテーブルに置いて

 

仕事に出かけた。

 

 

帰宅すると、案の定四男が

 

これなに?と聞いてきた。

 

うん、それね、やっぱりお隣のおじいちゃん亡くなったんだって。

 

と言うと

 

「....そうなんだ。...開けてみていい?」

 

 

いいよ。

 

「ん?なにこれ?....

 あ、コーヒーと紅茶のセットだね!お菓子も付いてる、やった。」

 

 

わ、いいね、いいのもらったね。

 .......嬉しいけど、

...おじいちゃんが居てくれた方が良かったね。

 

 

 

私がそう言うと、息子も

 

「うん。…そうだね。」

 

と、寂しそうに答えた。

 

 

 

するとその次の瞬間、四男が

 

「え?その煙なに?なになに?」

 

と言う。

 

 

え?煙?どこ?どこに?

 

 

四男の空(くう)を指す先には何も見えない。

 

 

「めっちゃ煙出てるやん!」

 

えーわからんよ?どこ?

 

「....あ。消えてきた。。。。。

 …………あーもう消えた。。。」

 

 

 

私達は

ここに引っ越してきてから

まだそんなに長くないので

 おじいちゃんのこと

余りよく知らなかったけれど、

 

いつも寡黙で、働き者の、

余り笑ったり喋ったりしない

おじいちゃんだったけれど、

 

近所の誰にでも

元気に挨拶する四男のこと、


可愛いと思ってくれてたんだろうな

 

お別れの挨拶に来てくれたんだな…


と思った。

 




 

いつも本当にありがとうございました。

 お世話になりました。

 

心よりご冥福をお祈り申し上げます。