桐谷くんは今まで

母親に言えなかった思いを

この機会を使って

ぶちまけているかのようにも見えた。

 

 

 

未子ちゃんの兄

「・・・・・お母さん、、

 

 そこまで息子さんのことを

 助けたいと思うなら、、

 

 今彼は、SOSを出してるのが、、

 聞こえませんか・・」

 

 

 

 

桐谷くんの母

「助けて欲しいのはこっちですよ。」

 

 

 

桐谷くん

「・・・・・・」

 

 

 

桐谷くんの母

「今までずっと一緒に暮らしていて

 母さんのそばで

 色々見てきてたはずなのに、

 どうしてわかってくれないの?」

 

 

 

桐谷くん

「・・無理だよ、、だって母さんだって、、

 僕のこと今だってこうして

 見てないじゃないか。

 

 子供以上に、、家族以上に

 そんなにその宗教が大事か・・・」

 

 

 

桐谷くんの母

「そんなことない、母さんは

 あなたの幸せのために」

 

 

 

桐谷くん

「もういい、、わかった、、

 

 未子ちゃん、、

 

 

 僕は未子ちゃんとこの先

 結婚出来ても出来なくても

 母さんとは縁を切る、、」

 

 

 

桐谷くんの母「ちょっと!」

 

 

 

 

桐谷くん

「何かあればすぐに、

 僕の幸せのためって言うけど

 ・・・そんな風には思えない。

 

 、、思ったことなかったから、、

 

 でもこんなこと、1人だったら

 絶対に言えなかった、、、

 

 だから、、」

 

 

 

桐谷くんは、未子ちゃんの方を見つめる。

 

 

そして

 

 

 

桐谷くん

「巻き込んでごめん。」

 

 

 

未子ちゃん

「・・・・・・・・・」

 

 

 

未子ちゃんはまた

ハラハラ涙を流した。

 

 

 

桐谷くん

「こんな思いをさせるつもりじゃあ

 なかったんだ、、

 

 母さんだって最終的には

 僕の結婚相手に会えば、、

 わかってくれると思ってたけど

 無理だった・・」

 

 

 

未子ちゃんの父

「じゃあ、、今日のところは

 これ以上お母さんと話しても

 難しいですね、、

 

 

 未子、、、」

 

 

 

諦めたような顔つきの父親の声に

未子ちゃんは涙を拭いながら

黙って頷く。

 

 

 

 

未子ちゃんの父

「では、我々はこれで帰ります。

 あとは親子で話し合ってください。」

 

 

 

 

桐谷くんの母

「ちょっと待ってください。

 

 それで、、どうなるんですか?

 

 

 息子と未子さんは

 結婚するんですか?」

 

 

 

桐谷くんも、未子ちゃんを見つめる。

 

 

 

未子ちゃん

「その前に、、お二人でちゃんと

 話し合ってください、、」

 

 

 

桐谷くん

「だから、僕は縁を切るって、、」

 

 

 

未子ちゃん

「うん、じゃあこのあと

 ハッキリ結論が出たら

 また教えて、、」

 

 

 

もう、信じられなかった。

 

 

桐谷くんの生い立ちのことを考えたら

同情もするし、

子供は生まれてくる親を選べないから

可哀想だなとは思う。

 

だけど、本当に縁なんて

切れるのだろうか。

 

 

これで、縁を切ってくれるなら

じゃあ桐谷くんとはよりを戻す

なんてことにして

やっぱり母親も捨てられない

なんてことを言い始めたら

 

それが結婚の後だったなら、、、

 

 

やはり考えれば考えるほど

桐谷くんとの明るい未来は

想像つかない。

 

 

 

やっぱり結婚は出来ない。

 

 

 

未子ちゃんはもうこの場で

ハッキリそういう結論が

自分の心の中に出ていた。

 

 

 

 

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