未子ちゃんは、
笑顔で話す桐谷くんの母親に
少しの怖さを感じていた。
だって結局
「無理強いをしない」とは言うが
「入ってもらうつもりはない」
とは絶対に言わない。
未子ちゃんの母
「じゃあ逆に、、息子さんが
今のその信仰に興味が無くなって
無宗教でありたいと言い出したら
それはどうされますか?」
桐谷くんの母
「え?それはまぁ本人の意思なので
尊重しますけど
この子はもう小さい頃からなので
信仰するとかしないとかじゃなくて
身についているものなんですよ。」
未子ちゃんの母
「たとえば、どういう部分でですか?」
桐谷くんの母
「えぇと、たとえば、、」
ここではある程度桐谷母が
具体的な例を挙げてくれたのだが
宗教が特定されそうなので割愛。
未子ちゃんの母
「桐谷くんはどうなの?
一度もその信仰をやめたいと
思ったことはないの?」
すると、ずっと穏やかだった桐谷母が
桐谷くんの母
「ちょっとすいません。
そこまで突っ込んだお話は
今は必要ないのでは?」
急に語気を強める。
未子ちゃんの母
「突っ込んだお話でしょうか。
息子さんの気持ちを
聞いてみているだけですよ。」
未子ちゃんのお母さんも負けてはいない。
桐谷くんの母
「でもそれはちょっと
誘導尋問みたいになっていませんか?」
未子ちゃんの兄
「誘導尋問??母がどんな答えを
誘導しようとしているみたいですか?
僕には全くそんな風には
聞こえなかったです。
ただ、やめたいと思ったことが
あるかないか
そんなの習い事でも仕事のことでも
その場の流れで
聞くことあるじゃないですか。
というか、聞かれたのは桐谷くんなので
彼が答えたくなければ自分で
答えられないと言えばいいだけです。
ねぇ、桐谷くん。」
桐谷くん
「あ、え、はい、、そうですね。」
桐谷くんは、未子ちゃんの顔を見る。
桐谷くん
「今まで、、子供の頃はとにかく
母親に言われた通りのことをするのが
当たり前だったので、、
何も考えたことがなかったですけど_
桐谷くんの母
「ちょっと、何を言い出すの?」
未子ちゃんの母
「聞かせてください。
息子さんが、話してるんです。
今日は、未子と息子さんの
将来のために集まってるんです。」
桐谷くん
「学生時代になって、
お付き合いする子が出来たり
周りの友達と話したりする中で
あれ?ちょっと俺の家庭って
なんか違うのか?って
思うようになってきました、、
それで、結婚じゃなくても
付き合う段階で、今の信仰の話をしたら
そんな人とは付き合えない
って言われるようになって、、」
そこは、未子ちゃんも聞いていた。
桐谷くん
「だから、何度かその際に母親に
友達に、信仰している宗教の名前を
伝えただけで逃げられた。
もう、そんなところ俺はやめたい
って言ったこともありますが、、
中身を何も知らない人に
批判されても、聞き入れないことが大事
そんな人と付き合う意味がない
と言われてきて、
とにかく友達にも恋人にも
信仰のことは伏せて生きていくように
心がけました、、」
未子ちゃんの父
「意思を尊重するって
おっしゃっていたのに
息子さんが脱会することは
許されないんですか?」
桐谷くんの母
「許されないって、、
そんな物騒な話じゃないですよ。
息子も軽く話してただけで
そんなに深刻に相談してきたことなんか
ないんですから。」
そんな中、やりとりを
しばらく聞いていた未子ちゃんが
口をひらいた。
未子ちゃん
「・・桐谷くん、、
もう、わかったよ。」
それから一瞬、沈黙の時間が流れた。
※ 最後の誤字申し訳ありません💦