海ちゃんにとっても

渚ちゃんにとっても

初めての心療内科の帰り道。

 

 

海ちゃん「渚、どうだった。」

 

 

 

渚ちゃん

「いや、それは私がママに

 聞こうと思ったことだよ。

 

 カウンセリング受けたのは

 ママの方でしょ」

 

 

 

海ちゃん

「そうだけど

 渚も流れで話すことになって

 どんな感じだった?

 

 スッキリしたとか

 あまりピンと来なかったとか

 何かしらの感情はあったでしょ?」

 

 

 

渚ちゃん

「何かしらの感情、、

 

 まぁそりゃあそうだけど。

 

 とにかくママが軽い鬱ってわかって 

 びっくりしたけど

 それで薬が出たり完治するなら

 よかったって思う。」

 

 

 

海ちゃん

「うん、そうね。ママもそれは思う。

 だけどそれって、ママのことでしょ。」

 

 

 

渚ちゃん

「ママの

 カウンセリングだったんだから

 それは当たり前でしょ。」 

 

 

 

海ちゃん

「そうだけど、、ママね、 

 先生に言われてハッとしたの。

 

 渚の方が我慢してるって。

 ママのこと、

 支えようとしてくれすぎて、、」

 

 

 

渚ちゃん

「あぁ、、言ってたね、、

 だけど自分じゃあよくわからないよ。

 

 お互いがお互いを

 苦しめてることもあるって

 

 あれってどういう意味?

 そんなわけないじゃん。

 別に私、ママに

 苦しめられてなんかないよ。」

 

 

 

海ちゃん

「うん、まぁ先生もそういう意味で

 言ったわけじゃないと思うんだ。」

 

 

 

渚ちゃん

「そうだけど、、そういうことなら

 もう少しわかりやすく

 教えて欲しかったけどな。

 

 自分が幸せになることを

 考えてみてくださいって、、、

 

 ママが今こんなことになって

 ママが幸せじゃないなら

 私が幸せになれるわけないし、、」

 

 

 

 

渚ちゃんは、口を尖らせている。

 

 

海ちゃんには熊田先生が

とてもいい先生だと思えたが

どうやら渚ちゃんには

ピンと来てない様子だった。

 

 

この様子ではやっぱり

渚も診察受けてみたら?とは

言えないと思った。

 

 

 

その帰り道の海沿いのカフェ。

 

 

渚ちゃんは高校生らしく

その綺麗な景色にテンションが上がり

お店に入る前から

たくさんの写真を撮っている。

 

 

 

渚ちゃん

「ねぇ、

 チョコレートケーキにしようかな。

 パンケーキのほうがいいかな。」

 

 

 

海ちゃん

「じゃあママがどっちか食べるから

 二つとも頼もうよ。」

 

 

 

渚ちゃん「えっ!いいの?」

 

 

 

こういう子供らしいところを見ると

すごくホッとする。

 

 

 

渚ちゃん

「でもさ、これからあそこに通うなら

 いろんな種類があるここのデザート

 色々楽しめるね!!」

 

 

 

海ちゃん

「色々楽しめるって

 これから渚もまた

 一緒に付き合ってくれるの?」

 

 

 

渚ちゃん

「もちろんだよ。

 

 でも、平日は難しいから

 土曜日とかにしてね!」

 

 

 

海ちゃん

「そうだけど、、、

 渚は今日の病院、実際どう思う?

 

 もう1つの病院にも

 行ってみてから決めようよ。」

 

 

 

渚ちゃん

「それでママはしんどくない?

 今日のところで良さそうなら

 色々行かなくて良くない?」

 

 

 

海ちゃん

「ありがとね。でもママは

 違う病院も気になるの。」

 

 

 

渚ちゃん

「そっか、そういうことなら

 もう一つも一緒に行ってみよ。」

 

 

 

 

 

それから1週間後

 

 

 

 

海ちゃんと渚ちゃんは

もう1つの病院に訪れていた。