登場人物

 

海ちゃん…18歳の時に出会った親友。

今は結婚して県外におり、3人の子供を育てている。

長女の渚ちゃんはもう高校生。

その下に次女の凪ちゃんと弟くんがいる。

 

川太…海ちゃんの夫。温厚で優しそうで家族想い。

と、誰もが思っていたが、実は部下と不倫をしていた。

まだ2人とも会社は辞めていない。

 

リク…24・5歳、海ちゃんの旦那の部下で不倫相手

 

家族仲、夫婦仲がとても良い夫婦と

海ちゃん本人も思っていた、しかし夫の本性は、、

 

 

 

 

結局凪ちゃんのゲームの話は

翌日に川太に伝え、金曜日の夜

テレビ電話をすることになった。

 

 

凪ちゃんと弟くんにはその日の夕方

(今日パパと電話するよ)

と伝えたら、かなり喜んで

そわそわし始めた。

 

 

 

リビングのテーブルに

海ちゃんがパソコンを置いて

その様子を、少し離れたソファーから

渚ちゃんが見ている。

 

 

もちろん渚ちゃんにはこのことを

1番最初に伝えたが

 

(凪がパパと

 電話したいって言ってるなら

 絶対に話した方がいいよ。

 パパのためじゃなくて

 凪たちのためにも。

 

 むしろ電話くらいなら

 毎週した方がいいんじゃない?)

 

とも言っていた。

 

 

その大人な反応に海ちゃんも

確かにここまで

電話を楽しみにしている

凪たちの顔を見ていたら

 

電話くらいは必要なのかもしれない

と思ってしまう。

 

 

 

そして、30分後。

 

 

 

 

川太オンライン「おー」

 

 

画面に川太が映った。

 

 

 

 

弟くんオンライン

「あっ!パパー!!パパだー!

 見えてるー?!!」

 

 

 

川太オンライン

「見えてる見えてる!2人とも

 元気そうだなぁ。」

 

 

 

凪ちゃんオンライン

「うん!元気だよー!あっ」

 

 

 

凪ちゃんがパソコンを持ち上げて

向かい側にいる海ちゃんを急に映した。

 

 

 

凪ちゃんオンライン

「ほらー、こっちはママもいるよー!」

 

 

海ちゃんオンライン

「ぱ、ぱぱー、ヤッホー」

 

 

 

凪ちゃんオンライン

「渚ちゃんもー」

 

 

 

渚ちゃん

「・・・・・・・」

 

 

 

渚ちゃんは無言で手を振る。

 

 

 

 

海ちゃんも渚ちゃんも

急で驚きすぎたので

海ちゃんはなんとか笑い、

渚ちゃんは手を振るだけで

精一杯だった。

 

 

凪ちゃんオンライン

「もー、渚ちゃんったらー」

 

 

川太オンライン

「ははは、みんな元気そうだなー。」

 

 

 

弟くんオンライン

「元気元気ー、パパはー?

 今どこー?」

 

 

 

川太オンライン

「今は、会社が借りてくれた

 マンションにいるよー。

 散らかってるから、周りの背景は

 映せないんだ。」

 

 

 

弟くんオンライン

「えー、見せて見せてー。」

 

 

 

川太オンライン

「まぁそれは今度なー。

 

 それより凪は、ゲームのことでパパに

 なんか聞きたいんじゃなかったか?」

 

 

 

凪ちゃんオンライン

「あっ、そうそう!見て、これ!」

 

 

 

 

子供達の無邪気な質問と振る舞いに

向かい側にいる海ちゃんは

ドキドキしてしまうし、

渚ちゃんも、携帯をいじるふりをして

耳はダンボだろう。

 

 

 

けれどやっぱり下の子2人は

ほんっとうに楽しそうで

この顔を見ていたら、

また、どうしていいのか

わからなくなるのだ。

 

 

 

凪ちゃんオンライン

「あー、そっかー、そうやるのかー。

 やっぱりパパすごいねぇ。」

 

 

 

川太オンライン

「いや、凪だってすごいぞ。

 よくここまでクリアできたなぁ。」

 

 

 

弟くんオンライン

「僕もやりたい、僕も!!」

 

 

 

凪ちゃんオンライン

「待って!順番でしょー!!」

 

 

 

 

海ちゃんの目線からは

はしゃぐ子供達2人の顔は見えるが

川太が画面越しに

どんな顔をしているのかわからない。

 

 

けれどこうしたやり取りを時々川太は

目を細めて幸せそうに見ていたから

きっと今もそうなのだろうか。

 

 

 

そう思うとまた、怒りと寂しさと

痛みと、苦しさが襲ってくるのだ。