登場人物
海ちゃん…18歳の時に出会った親友。
今は結婚して県外におり、3人の子供を育てている。
長女の渚ちゃんはもう高校生。
その下に次女の凪ちゃんと弟くんがいる。
川太…海ちゃんの夫。温厚で優しそうで家族想い。
と、誰もが思っていたが、実は部下と不倫をしていた。
まだ2人とも会社は辞めていない。
リク…24・5歳、海ちゃんの旦那の部下で不倫相手
家族仲、夫婦仲がとても良い夫婦と
海ちゃん本人も思っていた、しかし夫の本性は、、
海ちゃんの母親は、
川太の会社での様子を
誰かに聞いてみたらどうかと言うが
なんでそんなこと
聞かなきゃいけないの?とも
わかった、とも答えられなかった。
それは、海ちゃんだって毎日
そんなこと考えているからだ。
やはり、川太とリクが
同じ会社にいることは
ふとした時に考えてしまう。
あそこまで言ってくれた社長と常務を
今更裏切るわけはないとは思うが
リクの方がどう出るかわからない。
辞めさせて欲しいが、会社として今の時代
簡単にクビになんて出来ない状況も
この田舎では、また1から募集して
人材を育てることだって
大変なことだとわかっている。
海ちゃんは、携帯を眺める。
確かに川太の会社の人で
仲のいい人はいる。
川太の同僚の奥さんの連絡先も
何人か知っている。
海ちゃん
(・・・・・・・・・・)
もし連絡して
その人が川太のことを
知っていたとしたら、、
その嫁である自分になんて
どう返信すればいいか
わからないだろうな。
普通は軽蔑するだろうし、、、
やっぱり誰かに連絡するなんて出来ない。
海ちゃんは、携帯をその場に置いた。
◆
凪ちゃん「ねぇママ?」
ある日、凪ちゃんが話しかけてきた。
海ちゃん「ん?どうしたの?」
凪ちゃん
「パパと喧嘩とかしてる?」
ドキッとする。
海ちゃん
「え?してないよ?どうして?」
凪ちゃん
「だって、こんなに会ってないのに
夜に電話したりもしないでしょ?
しばらく遠いところで
お仕事だって言うけど
夜に電話は出来るんじゃないの?」
キョトンとした顔をしている。
本当に、疑問に思っているのだろう。
海ちゃん
「あぁ、、パパのお仕事ね、、
最近お昼から夜の間になってるから
家に帰るのは、凪がもう
寝てる時間なのよ。
だから、ママはパパと話してるよ。」
凪ちゃん
「えー、じゃあ凪もパパと話したい。
聞きたい事があるの。」
海ちゃん
「・・・聞きたい事・・・?
ママじゃダメなこと?」
凪ちゃん
「うん、ゲームでどうしても、
クリア出来ない場面があって
パパじゃないとわからないよ。」
海ちゃん
「あぁ、、そうか、そうだね。
ママじゃあゲームのことは無理だ、、
聞いておいてあげたいけど
聞いても覚えられないかも、、」
凪ちゃん
「でしょ?っていうか休みの日あるじゃん!
そこで凪と話してって言っといて!」
海ちゃん
「あぁ、そうだね。言っとく。」
凪ちゃん
「すぐにだよ!?そこがクリア出来ないと
全然進まないんだからー。」
海ちゃん
「そうなんだ、、わかった。」
凪ちゃんはニコニコしながら
その場を立ち去ってゆく。
こんな場面になるたびに、
子供達への説明内容が
いろんなパターンで
ぐるぐる頭の中を駆け巡るが
どれもまだしっくり来なくて
どれもまだ言った後に
状況がどう変わるかわからないとか
思ってしまって
結局1日1日が過ぎてゆくのだ。
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