登場人物

 

海ちゃん…18歳の時に出会った親友。

今は結婚して県外におり、3人の子供を育てている。

長女の渚ちゃんはもう高校生。

その下に次女の凪ちゃんと弟くんがいる。

 

川太…海ちゃんの夫。温厚で優しそうで家族想い。

と、誰もが思っていたが、実は部下と不倫をしていた。

まだ2人とも会社は辞めていない。

 

リク…24・5歳、海ちゃんの旦那の部下で不倫相手

 

家族仲、夫婦仲がとても良い夫婦と

海ちゃん本人も思っていた、しかし夫の本性は、、

 

 

 

海ちゃんは

川太と常務のやりとりを聞いて

川太のことがほんっとうに

情けないと思った反面

 

会社が何もかも知った上で、

川太をクビにしないと判断したことを

ありがたいと思ったのが

正直なところだった。

 

 

昇格出来ないのは残念でも

川太の今のお給料なら

この辺りの地域では高級取りな方だ。

 

 

やはり現実問題、これから進学を考える

長女のことを筆頭に

まだ下に2人も子供がいる。

 

もちろんたくさん働こうと思っているが

かなり田舎のこの地域では

まずはお給料も少ないし

自分の力だけで3人を進学させるのは

本当に難しいと考えている。

 

 

 

 

 

海ちゃん電話

「常務がせっかくあなたのことを思って

 色々話してくれてるのに

 泣いたのは情けないけどね・・・」

 

 

つい、本音が出てしまう。

 

 

今までの海ちゃんなら

川太にこんな言い方はしなかった。

 

自分でもたった数ヶ月で

刺々しいものの言い方をするようになったなと

海ちゃんは思うらしい。

 

 

・・私は通常運転で、そういうセリフ

いっちまうけどね。(ぼそっ)

 

 

 

川太電話

「そうだよね、、ほんと、、そうなんだ・・

 わかってるんだけど、、、

 

 毎日毎日自分の不甲斐なさに

 涙が出るよ・・・」

 

 

 

海ちゃん電話

「泣きたいのはこっちだし、、

 

 なんなら、毎日泣いてたとして

 なんで私にそれを話すの?

 

 この常務とのエピソードだって

 自分が泣いた話まで込みで

 私に伝えるってことは、、、

 

 まだ私に、同情して欲しいの?」

 

 

 

 

そう。

 

 

 

もちろん常務とのやり取りは

川太から聞いたわけで

(俺、最後に泣いちゃってさ)

 

みたいなエピソードなんて

本来いらんわけですよ。

 

 

でも川太って、そういう人らしい。

 

 

海ちゃんは、

(彼のことが大好きな時は

 そういう部分も含めて、涙もろくて

 人情味に溢れていて、愛しかったんだよ)

と言っていた。

 

 

 

 

川太電話

「・・・そうだよね・・・

 

 必要ない報告だった・・・

 

 明日、、社長にも会うことになった。

 常務がきちんと社長と話してこいって。」

 

 

 

 

海ちゃん電話

「・・・・・・常務に促されて

 社長と話すの・・・?」

 

 

 

 

川太電話

「いや、違う。、、いや、、

 今はなんて言っても俺の言葉は全部

 ミスチョイスに聞こえるな・・・」

 

 

 

海ちゃん電話

「わからない・・私も今はもう

 こういう話し方しか出来ないの・・」

 

 

 

 

海ちゃんまで暗い気持ちになって

この電話は終わった。

 

 

 

 

 

 

 

翌日のお昼、川太は社長室にいた。

 

 

 

何度も言うがこの会社は、

社内でのイベントもよく開催されていて

社長と社員の距離が近い。

 

そのため川太も、

仕事以外のことで何度も社長と

飲んだり話したりしている。

 

 

 

 

 

川太

「・・・・・社長、、、この度は

 

 

 

 ・・・・本当に申し訳ございません。」

 

 

 

 

 

部屋に入ってすぐに

目の前に座る社長に頭を下げた川太。

 

 

しかし社長は、

黙って腕を組んだまま

しばらく一言も話さなかった。

 

 

 

 

 

 

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