登場人物
高崎 舞香さん…39歳 今回の主人公。
4歳の娘(日菜ちゃん)がいる。
相談相手は実のお姉さん。(春香さん)
現在夫とは別居しており、引っ越して
娘と二人暮らしを始めている。
現在パート勤めから正社員に。
高崎 誠……40歳 舞香さんの夫。
ある日突然、好きな人がいるから
離婚したいと舞香さんに告げる。
相手は同じ部署の(藤沢美波)という女性。
しかし、浮気相手は1人ではなかった。
美波は誠と付き合う前に、同じ会社の上司と
不倫関係にあり、奥さんの前で別れていた。
しかし、また水面下で始まって・・
舞香さんは、
不倫上司の奥さんの潔さや
美波のお姉さんの
過去の自分を断ち切って
前を向いて歩いていこうとする姿に
少なからず影響を受けていた。
もちろん良い意味で。
誠に、離婚したいと言われてから
本当にいろんなことがあった。
誠にも自分にも、
色んなことに失望して
どうして自分だけこんなにも
不幸せなんだろうと、
苦しくて苦しくて仕方がなかった。
だけど1ヶ月過ぎ、3ヶ月過ぎ
半年が過ぎ、という日々の中でやっと
時間薬という意味がわかってきて
同じ物事でも受け止め方
考え方を変えられるようになってきた。
舞香さんは、
弁護士さんにお願いをして
誠に会うことにした。
なぜなら、弁護士に
間に入ってもらうやりとりに
時間がかかりすぎる割に
進展速度が遅いからということと
そのやり取りの中で比較的
誠がおかしな発言をしなくなったので
今なら話し合えるかもしれないと
思ったのだ。
あとは、
本音の本音で言えば
誠がその後どうなっているのか
気にはなっていた。
離婚への決意は固いが
結局自分はまだ、無関心には
なれていないんだなと思う。
だからこのことは、親にもお姉さんにも
相談しなかった。
◆
その日、美波の妊娠騒動の件で
誠と電話で話してから
1ヶ月が経過していた。
舞香さん
「…お久しぶり。」
誠
「久しぶり。ありがとう。
会ってくれるって言ってくれて…
正直驚いてる。」
舞香さん
「うん。今なら話せるかなって
思ったから。」
久しぶりに会った誠は
明らかに痩せていたのが意外だった。
そのやり取りの間に、
舞香さんの弁護士さんが
頭を軽く下げる。
舞香さん
「……結構痩せたんだね。」
誠
「ハハ、、そうかな・・・なんか
色々と気力がなくて、そしたら
食べたいっていう欲求も
少なくなってきて、、」
舞香さん
「そうなんだ。
・・・・・・・・・・」
誠
「あぁ、、養育費の金額とか、、
その辺りの話だよね。
ごめん、連絡遅くなってて、、、」
舞香さん
「うん、だから直接話したほうが
いいかなって思ったから。」
舞香さんの合図に、弁護士の方が
諸々の書類を取り出す。
誠
「・・・・・・・・。
・・・・・・・・・。」
その様子を誠が
覇気のない目で追いかけている。
舞香さん
「……仕事は、どうなった?
次、決まった?」
結局美波のリークの件から
誠は自主退職を選んだが
その後の仕事が決まってなかったために
養育費のはっきりした金額が
なかなか定まらなかったのだ。
誠
「……決まったと言えば決まった。
最初は契約社員からで
業績を上げられると会社が判断したら
正社員になる。」
舞香さん
「どこの会社になったの?」
誠「⚪︎⚪︎商事」
舞香さん「えっ、、」
名前を聞いて驚く。
大手の会社だ。
舞香さん
「そんないい会社に入れたの、、、
どうして?」
誠
「⚪︎⚪︎(大学時代の友人)の紹介。
今、ちょうど人が足りてないってことで
たまたま入れた。。。」
舞香さん
「なんでそんな浮かない顔して言うの?」
誠
「…いや、かなり業績重視だから
給料の変動が激しくて
安定した収入で働けるのかなって、、」
なんだろうか。
ずっと覇気のない誠の様子に
舞香さんは違和感を覚えた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー