登場人物
海ちゃん…18歳の時に出会った親友。
今は結婚して県外におり、3人の子供を育てている。
長女の渚ちゃんはもう高校生。
その下に次女の凪ちゃんと弟くんがいる。
川太…海ちゃんの夫。温厚で優しそうで家族想い。
と、誰もが思っていたが、実は部下と不倫をしていた。
リク…24・5歳、海ちゃんの旦那の部下で不倫相手
家族仲、夫婦仲がとても良い夫婦と
海ちゃん本人も思っていた、しかし夫の本性は、、
お葬式の当日
スピ子さんとの話も早々に
海ちゃんは母親と一緒に片付けを手伝い
やっと実家に帰ったのは
夜の21時を過ぎていた。
海ちゃん
「ふー、、、お母さん、お疲れ様、、」
海ちゃんの母
「海、ありがとう。
色々と手伝ってくれて。
急なことで大変だったでしょ。」
海ちゃん
「それはお母さんの方でしょ。」
海ちゃんの母
「でも、、これで一旦一区切り
…なんてそんな簡単に
気持ちは切り替えられないけど
だんだん普通の生活に
戻さないといけないのよね。
私は姉さんに頼りっぱなしだったから
しばらくは姉さんがいないことに
まだ慣れないとは思うけど・・
クヨクヨしてたら天国から
叱られそうだから。」
海ちゃん
「そうだね、ゆっくり元気になって。
私もサポートするから。」
すると、お母さんは海ちゃんの顔を
ジィっと見つめる。
海ちゃんの母
「でも…サポートが必要なのは
海なんじゃないの?」
海ちゃん「え、、、」
海ちゃんの母
「今度はお母さんが
海のことを支える番でしょ。」
海ちゃん
「・・・・・・・」
海ちゃんの母
「何があったのかは
詳しくわからないけど
昨日の渚のこともあるし
海の様子はずっと変だった。
お父さんも私に何か隠してるし
こういう時だから
私のことをみんなで気遣ってるの
わかってるから。」
お母さんは、お見落としだった。
世の中のお母さんたちって
本当にすごいと思う。
海ちゃん「でも、、、」
海ちゃんは涙を堪える。
こんな時期の母親に伝えるのは
あまりにも苦し過ぎる報告だ。
海ちゃんの母
「海・・・あのね、姉さんのことは
辛いし悲しいよ。今だってまだ
整理なんかつかない。
だけど、もうどんなに悲しんでも
姉さんは帰ってこない。
でも海はこうして目の前で
生きて、苦しんで泣いてる。
大事な娘が悩んでいるって
わかっているのに
助けたくない母親がいると思う?
生きてるって、こうして頼れるって
当たり前じゃないんだよ。
お母さんも海も生きてる。
だからちゃんと、話して欲しいよ。」
海ちゃん
「・・・・・・・うん。
そうだよね、、、うん、、
じゃあお母さん、聞いてくれる、、?」
海ちゃんの母「もちろん。」
海ちゃん
「・・・・・川太くんがね…」
海ちゃんの母「、、、うん。」
海ちゃん
「……同じ会社の人と、、
うぅ、、、浮気してた・・・
それでその現場を、、
渚のお友達のあやちゃんが、、
目撃してたの、、、」
海ちゃんの母
「・・・・・え?」
海ちゃん
「・・・お母さん、、、」
海ちゃんが静かに泣いて、
海ちゃんのお母さんは
その身体をゆっくりと抱きしめた。