登場人物
海ちゃん…18歳の時に出会った親友。
今は結婚して県外におり、3人の子供を育てている。
長女はもう高校生。その下に次女ちゃんと
弟くんがいる。
川太…海ちゃんの夫。温厚で優しそうで家族想い。
と、誰もが思っていたが、実は部下と不倫をしていた。
リク…24・5歳、海ちゃんの旦那の部下で不倫相手
家族仲、夫婦仲がとても良い夫婦と
海ちゃん本人も思っていた、しかし夫の本性は、、
ずっと煮え切らない態度の川太に
海ちゃんは毎日傷つけられてゆく。
それでも、こうして今自分が
傷ついているということは
まだ夫のことを愛しているのだと
諦めきれないのだと
そう思う自分に気づくのも、
また傷つくのだ。
海ちゃんは、考え事をしながら
自分の実家に車を走らせる。
弟くん
「ねぇママー、どうしてパパは今日も
一緒にお家に帰らないの?
明日は帰ってくる?」
海ちゃん
「さぁ、どうかな・・パパ忙しいから
ご用がいつ終わるかな・・」
どうして海ちゃんの方がこうして
子供達の前で
取り繕わなければいけないのだろう。
◆
実家に着くと母親が
夕飯を作って待ってくれていた
母親だって、
辛くてたまらないはずなのに。
海ちゃん
「お母さん、ありがとう。」
海ちゃんの母親
「うぅん、こうして何か
人のために動けた方がいいの。
自分のためだけだったら
何もやる気が起こらなかったから」
海ちゃん
「あぁ、、その気持ちわかる。」
海ちゃんの母親
「海は本当に、姉さんのことが
大好きだったもんね。」
そう言ってまた涙ぐむ母親には
やっぱりしばらく
川太のことなど話せるわけがなかった。
22時。
バスルームに携帯を持って入る。
川太かお義父さんから
電話がかかってこないか
待っているのだ。
何も考えたくなくて
お風呂から上がって、部屋で1人
ネットの動画なども検索してみるが
どれも面白いと思えない。
23時。
どうして何も連絡がないのだろう。
海ちゃんが子供達を迎えに行ったのは
夕方だったのに。
海ちゃんLINE
「まだ話し合い中ですか?」
自分から川太にLINEをしてしまった。
22時くらいに、お義父さんの方に
連絡すればよかった。
まさかもう寝てたり・・
海ちゃん
「いや、さすがに今日は話したよね、、」
それから15分後
川太LINE
「ごめん、まだ話してる。
遅くなるから明日連絡する。」
川太からの返信を読んで
一瞬だけ安心する。
けれど明日の朝、
川太じゃなくてお義父さんの方に
連絡をしよう。
海ちゃんはそう決めて目を閉じた。
最近ずっと眠っていなかったので
母親の干した布団の
太陽の優しい香りに包まれて
久しぶりに連続して眠れた。
◆
翌朝早く、キッチンから聞こえてくる
母親の朝食を作る朝の音で目が覚める。
今後子供達を連れて
実家に戻ってきたいと言ったら
母親は喜んで受け入れてくれるだろう。
だけど、だからこそ言えない。
海ちゃん
「お母さん、おはよう。」
海ちゃんの母親
「あら、まだ寝ててもよかったのに。
あの子達まだ全員寝てるんでしょ?」
海ちゃん
「うん、、やっぱりつい癖で
早く起きちゃうね、、
朝食手伝うよ。」
海ちゃんはお味噌汁を作る
母親の横に並んで、
サラダを作り始めた。
しかし
海ちゃん
「・・うぅ、、、」
突然、自分でもどうしようもないほどに
涙が溢れてきた。
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