登場人物

 

海ちゃん…18歳の時に出会った親友。

今は結婚して県外におり、3人の子供を育てている。

上の子はもう高校生。

 

川太…海ちゃんの夫。温厚で優しそうで家族想い。

と、誰もが思っていた。

 

リク…24,5歳、海ちゃんの旦那の部下で不倫相手

 

家族仲、夫婦仲がとても良い夫婦と

海ちゃん本人も思っていた、しかし夫の本性は、、

 

 

 

海ちゃんは、川太に伝えた。

 

「別居したい。」

 

 

 

こんなことを口にしたのは

もちろん初めてだ。

 

 

 

 

「こんな状況の中で

 これから帰ってくる子供達の前で

 海ちゃんに無理して笑えって

 言ってるんですか?」

 

 

 

川太

「・・・・・・・・・それは、、

 

 ・・・そうだよな・・・

 俺が出て行くしか、、、

 

 今は海ちゃんが納得出来る道は

 ないんだよな・・・」

 

 

 

海ちゃん

「納得出来る道?!!

 

 どんな選択肢も、

 納得なんて出来るわけ無い!

 

 納得出来る道は、

 あなたが不倫なんかしなかった

 過去と未来よ!!」

 

 

 

川太

「そうだよな、、

 

 

 荷物、まとめてくる・・」

 

 

 

河太がノロノロと立ち上がり

肩をガクンと落としたまま

2階の部屋に向かう。

 

なんだかその様子が

俺可哀想アピールにも見えて

背中を蹴り飛ばそうと思ってしまったが

そんなことしたことないのでしないけど

まぁそれくらい、

わざとらしくて腹ただしかった。

 

 

 

 

 

川太が2階に上がった気配を確認し

私と海ちゃんは、

リビングのソファーに座る。

 

 

 

すると海ちゃんが

ぽつりぽつりと話を始めた。

 

 

海ちゃん

「あのさ、、パンダ、、、

 私もしかしたら、自分にも周りにも

 嘘をついてるのかもしれない。」

 

 

 

「ん??どういう意味?」

 

 

 

海ちゃん

「・・・・こんなこと、、、

 恥ずかしくて悔しくて惨めだから

 言いたくないけど、、

 

 もう今以上に惨めなことないから

 打ち明けていい?」

 

 

 

海ちゃんの目からまた

大きな涙がぼたぼたと流れてくる。

 

 

急にどうしたのかと、私も驚く。

 

 

 

「・・・今だって海ちゃんは

 惨めなんかじゃないよ。

 

 そんなこと、思ってない!

 思うわけない。

 

 だから、なんでも打ち明けて。」

 

 

 

海ちゃん

「うぅ・・ありがとう・・・

 

 私さ、、、パンダにも

 家族にもママ友にもみんな・・

 うちの家族は幸せだって

 思ってもらってると思うけど・・」

 

 

 

 

「ん?・・・違うの?」

 

 

 

海ちゃん

「・・・わからない、、、

 

 

 多分それって本当は、

 私がそうやって、

 取り繕っていた部分も少なからず

 あるのかもしれない・・・」

 

 

 

「・・・どういうこと?」

 

 

 

 

海ちゃん

「私ね、周りには

 川太のいいところばっかり伝えてきて

 愚痴なんか言わなかった。

 

 もちろんいいところも沢山あるんだけど、、

 我慢してることもいっぱいあって

 それはお互い様だよねって

 思ってもいるから、、

 

 だから周りの人に

 実は孤独だった気持ちとか

 苦しかったこととか、、

 

 話せなかったんだよ・・・」

 

 

 

 

「・・・え?・・孤独だった?、、」

 

 

 

海ちゃん

「うん、、、でもね、私は誰かに

 うちの家族仲良いでしょって、

 羨ましがられたかったわけじゃない。

 

 SNSで見るような

 キラキラした世界に憧れてたとか

 そういうのとはまた違うの。

 

 そうじゃなくて、

 親とか周りに心配かけたくないとか

 そういう気持ち。

 

 我が子は幸せなんだなって

 安心して欲しかったというか・・・」

 

 

 

「・・・・・」

 

 

 

 

海ちゃん

「だから、川太の愚痴とかを言わないのは

 川太の評価を下げたくない

 と思ってたからじゃなくて、、

 

 私は不幸せなのかなとか

 思われたくないとか

 ・・多分私は、、私を守るために

 自分の我慢は我慢じゃないって

 言い聞かせてきたのかもしれないって

 

 ・・・今日、パンダが来てくれて

 本人に言いたいことを言えて

 ・・今までこんな言い方

 したことなかったなって思って・・」

 

 

 

 

海ちゃんは泣いていたけど

自分の言葉で自分の気持ちを

しっかりと話していて

 

そして、

 

 

海ちゃんの言いたいこと

すごくわかるような気がした。

 

 

 

 

 

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