登場人物
海ちゃん…18歳の時に出会った親友。
今は結婚して県外におり、3人の子供を育てている。
上の子はもう高校生。
川太…海ちゃんの夫。温厚で優しそうで家族想い。
と、誰もが思っていた。
リク…24,5歳、海ちゃんの旦那の部下で不倫相手
家族仲、夫婦仲がとても良い夫婦と
海ちゃん本人も思っていた、しかし夫の本性は、、
海ちゃんは、川太に伝えた。
「別居したい。」
こんなことを口にしたのは
もちろん初めてだ。
私
「こんな状況の中で
これから帰ってくる子供達の前で
海ちゃんに無理して笑えって
言ってるんですか?」
川太
「・・・・・・・・・それは、、
・・・そうだよな・・・
俺が出て行くしか、、、
今は海ちゃんが納得出来る道は
ないんだよな・・・」
海ちゃん
「納得出来る道?!!
どんな選択肢も、
納得なんて出来るわけ無い!
納得出来る道は、
あなたが不倫なんかしなかった
過去と未来よ!!」
川太
「そうだよな、、
荷物、まとめてくる・・」
河太がノロノロと立ち上がり
肩をガクンと落としたまま
2階の部屋に向かう。
なんだかその様子が
俺可哀想アピールにも見えて
背中を蹴り飛ばそうと思ってしまったが
そんなことしたことないのでしないけど
まぁそれくらい、
わざとらしくて腹ただしかった。
◆
川太が2階に上がった気配を確認し
私と海ちゃんは、
リビングのソファーに座る。
すると海ちゃんが
ぽつりぽつりと話を始めた。
海ちゃん
「あのさ、、パンダ、、、
私もしかしたら、自分にも周りにも
嘘をついてるのかもしれない。」
私
「ん??どういう意味?」
海ちゃん
「・・・・こんなこと、、、
恥ずかしくて悔しくて惨めだから
言いたくないけど、、
もう今以上に惨めなことないから
打ち明けていい?」
海ちゃんの目からまた
大きな涙がぼたぼたと流れてくる。
急にどうしたのかと、私も驚く。
私
「・・・今だって海ちゃんは
惨めなんかじゃないよ。
そんなこと、思ってない!
思うわけない。
だから、なんでも打ち明けて。」
海ちゃん
「うぅ・・ありがとう・・・
私さ、、、パンダにも
家族にもママ友にもみんな・・
うちの家族は幸せだって
思ってもらってると思うけど・・」
私
「ん?・・・違うの?」
海ちゃん
「・・・わからない、、、
多分それって本当は、
私がそうやって、
取り繕っていた部分も少なからず
あるのかもしれない・・・」
私
「・・・どういうこと?」
海ちゃん
「私ね、周りには
川太のいいところばっかり伝えてきて
愚痴なんか言わなかった。
もちろんいいところも沢山あるんだけど、、
我慢してることもいっぱいあって
それはお互い様だよねって
思ってもいるから、、
だから周りの人に
実は孤独だった気持ちとか
苦しかったこととか、、
話せなかったんだよ・・・」
私
「・・・え?・・孤独だった?、、」
海ちゃん
「うん、、、でもね、私は誰かに
うちの家族仲良いでしょって、
羨ましがられたかったわけじゃない。
SNSで見るような
キラキラした世界に憧れてたとか
そういうのとはまた違うの。
そうじゃなくて、
親とか周りに心配かけたくないとか
そういう気持ち。
我が子は幸せなんだなって
安心して欲しかったというか・・・」
私
「・・・・・」
海ちゃん
「だから、川太の愚痴とかを言わないのは
川太の評価を下げたくない
と思ってたからじゃなくて、、
私は不幸せなのかなとか
思われたくないとか
・・多分私は、、私を守るために
自分の我慢は我慢じゃないって
言い聞かせてきたのかもしれないって
・・・今日、パンダが来てくれて
本人に言いたいことを言えて
・・今までこんな言い方
したことなかったなって思って・・」
海ちゃんは泣いていたけど
自分の言葉で自分の気持ちを
しっかりと話していて
そして、
海ちゃんの言いたいこと
すごくわかるような気がした。
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