登場人物

 

海ちゃん…18歳の時に出会った親友。

今は結婚して県外におり、3人の子供を育てている。

上の子はもう高校生。

 

川太…海ちゃんの夫。温厚で優しそうで家族想い。

と、誰もが思っていた。

 

リク…24,5歳、海ちゃんの旦那の部下で不倫相手

 

家族仲、夫婦仲がとても良い夫婦と

海ちゃん本人も思っていた、しかし夫の本性は、、

 

 

 

 

(昨日はご馳走様でした。

 朝までずっと一緒にいたかった)

 

 

 

海ちゃんはたまたま

川太がいじっていた携帯の画面で

この文章を見つけたが

川太はこの1文しか見つかっていないと

今もまだ思い込んでいる。

 

 

 

海ちゃん

「・・・・・ねぇ。

 本当のことを話して。」

 

 

 

川太

「本当のことって、、話してるよ…

 お願いだから泣かないでよ…」

 

 

 

川太が海ちゃんの顔を

悲しそうに見つめている。

 

そして立ち上がり、キッチンにあった

タオルを持ってきてその涙を拭いてやる。

 

 

海ちゃんは、その手を振り解こうとはせず

川太に涙を拭かせて、なんなら

川太は頭まで撫でている。

 

きっと私がいなくて二人きりなら

このままなし崩し的に

ごめんねとか言って、抱きしめたりして

この場をなんとかうまく

収めようとしたのだろう。

 

そしてきっと海ちゃんも今はまだ

離婚する勇気がないと言っていたので

そのまま流されたのかもしれない。

 

 

 

それはそれで、海ちゃんの選んだ道。

 

 

 

 

だけど今日、私がきた意味。

 

 

海ちゃんが、私を呼んだ意味。

 

それは、なし崩しを求めてはいないから。

 

 

 

 

 

 

「・・・・・海ちゃん。

 

 辛いけど今、この場だけは

 心を強く持とうか。」

 

 

 

 

海ちゃん

「・・・・・・」

 

 

 

「川太くん。きっとあなたは

 私さえここに来なければ

 

 海ちゃん一人だけなら

 自分のペースに巻き込めたとか

 言いくるめられたのにって

 思ってませんか?」

 

 

 

川太

「…そんなことないですよ。

 今はただ、申し訳ないことしたから

 ・・・だから自然と海ちゃんのこと

 慰めたくて・・・」

 

 

 

「慰める??自分が傷つけた人を

 自分で慰めるんですか?」

 

 

 

お前の発言は、DV男の主張なんだが。

 

 

 

 

川太

「そういう意味じゃないですよ・・」

 

 

 

「じゃあ、また話を戻しますが

 本当のことを話してください。」

 

 

 

川太

「だからずっと話してます。」

 

 

 

「……それって、海ちゃんに誓って

 言えますか?

 

 この先新たな情報は出てこないと。」

 

 

 

川太

「…新たな情報ってなんですか。

 そういうカマかけみたいな言い方

 やめてくださいよ。」

 

 

 

「なんで今の言葉だけで

 カマかけなんかに聞こえるんでしょうね。

 

 不思議です。

 

 まだ私、本領発揮してないのに。」

 

 

 

川太

「…本領発揮ってなんですか。

 パンダさん、ここにきてから

 ずっと怖いことばっかり言ってますよ。」

 

 

 

「怖く聞こえるのは、なぜでしょうね。

 後ろめたいことがないなら」

 

 

 

川太

「パンダさん、

 パンダさんは社会経験が長いから

 そのせいで色々なことを

 想像してしまうと思うんですが

 

 僕なんて単純ですから

 そんな複雑なことは何も

 してないですよ。

 

 ご心配おかけしたことは

 お詫び致しますが、夫婦のことなんで

 あとは海ちゃんと話します。」

 

 

 

「海ちゃん、どうする?本当のこと、

 やっぱり言わないみたいよ。」

 

 

 

ため息まじりに、海ちゃんに問いかける。

 

 

 

海ちゃん

「最低、、、パンダへの言葉も含めて

 最低・・。」

 

 

 

川太

「え?海ちゃん、どうしたんだよ。」

 

 

 

海ちゃん

「・・・私があなたと

 彼女のやり取りを見たのは

 

 1つじゃない。

 

 あなたたちもっと前から

 関係があったよね。

 LINEのやり取りも。」

 

 

 

川太

「えっ、、、、」

 

 

 

川太の顔色が、一気に変わる。

 

 

 

川太

「・・・・いつのやつから、、?」

 

 

 

 

海ちゃん

「いつのって、、、、

 

 

 ほらね、そんなの違うよって

 否定しないじゃん。

 

 

 嘘つき!

 

 

 

 

ずーっと、優しくて家族想いだと

信じて愛して、尽くした人に

こんな悲しい言葉を、

夫に投げかけなければいけなかった海ちゃん。

 

 

海ちゃんの大きな瞳から

ずっと涙がぼたぼたこぼれ落ちていた。

 

 

 

 

 

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