登場人物
海ちゃん…18歳の時に出会った親友。
今は結婚して県外におり、3人の子供を育てている。
上の子はもう高校生。
海ちゃんの旦那…温厚で優しそうで家族想い。
と、誰もが思っていた。
家族仲、夫婦仲がとても良い夫婦と
海ちゃん本人も思っていた、しかし
夫の本性は、、
泣きそうな海ちゃんの肩を叩きながら
私は海ちゃんが大切に大切に築き上げてきた
そのお城ともいえる、お家に入った。
私「こんにちは」
玄関の扉を開けると、海ちゃんのご主人
川太が出てきた。
川太
「パンダさん、お久しぶりです。
すいません、こんなところまで
来ていただいて。。。」
私
「お久しぶりです。
、、本当はもっと違う理由で
家族で一緒に来たかったんですけどね、、」
開口一番に、嫌味が口から
スルッと出ちゃったわぃ。
だって本当に川太って、
虫1匹やっつけなさそうな
温厚で優しい顔つきをしているの。
なんというか、鈴木福くんみたいに
笑顔がずっと子供の頃から変わらず
愛くるしそうに見えるというか。
川太にスリッパを出され、
リビングまで歩いて行くと
お子さんが3人もいるのに
きちんと整理されたお部屋。
丁寧にきちんと暮らしている
そんな印象のお家だった。
リビングにあるダイニングに座ると
お茶を出してくれたのは川太だった。
小さいプレートの中に
ティーポットセットと
可愛いお菓子がちょこんと乗っている。
私
「ありがとうございます、、」
私の家に突然来られても、
こんな風におもてなし出来るセットはない。
きっとこの家には普段から
いろんな人が来ているのだろう。
このおもてなしだけで、ちゃんと
歓迎されているということが伝わるから。
海ちゃん「・・座って、、」
海ちゃんが、川太を促す。
川太「あ、はい・・・」
川太が緊張した面持ちで
海ちゃんの隣で、私の向かい側に座る。
私
「それで、、じゃあもう早速
本題に入るけど、
川太くん、説明して。」
川太
「えっ!僕から説明するんですか?」
私
「なんで海ちゃんから
説明しないといけないの?
自分がやったことでしょ。
自分で説明してください。」
川太
「いやあの、、パンダさんが
どこまで聞いてるのかなって
思いまして、、だからわかるところから
お話しした方が・・」
私
「私はお互いの話を聞きたいので
川太くんの意見はあなたの言葉で
聞かせてください。どうぞ。」
すると隣で海ちゃんがまた、
涙がポロポロ溢れてきて
キッチンにあったタオルを取りに行った。
川太
「あの、、まず前置きいいですか。」
どうせ言い訳なのでいらんよ、
と言おうと思ったけれど聞くことにした。
川太
「まず僕は、家族のことが、、
海ちゃんのことが大好きです。
だから今回のことは本当に
自分でも最低だったなって
思ってるんです、、
だから今日は聞かれたこと
全部話すつもりです、、」
私
「聞かれたことを話すというより
本当のことをちゃんと
聞かれなくても話してください。
もちろん聞かれたことも。」
川太
「あ、はい、、」
私
「この会話は、一応証拠として
海ちゃんに録音してもらいますけど
いいですか。」
川太
「えっ、そこまでするんですか?」
私
「川太くんは、
それ以上のことをしたんですが。」
川太
「いや、それはそうなんですけど、、
録音って、、何のためにかなって
ちょっとだけ疑問に思って、、、
なんか、怖いというか、、」
私
「怖いのは、私がですか?録音行為がですか?
家族を裏切ること以上の
怖いことってどんなことですか?」
あぁ私ったら、本題が始まる前に
鬼詰してしまう。
海ちゃん、オサレなティーポットじゃなくて
牛乳出してくれい。
川太
「あ、、すいません、、録音ってなると
弁護士に訴えられちゃうのかなとか・・
色々想像してしまって、、」
私
「それは、本題を話す前に
弁護士に訴えられるようなことを
これから話しますよっていう
暴露ですか?」
川太
「いえ、、違います・・・まいったな、、」
海ちゃん
「ねぇ、パンダは今日、
せっかくのGWの家族の時間を割いて
ここにきてくれてるの!!
パンダのご主人って単身赴任で
普段家族が揃って出かけることなんて
なかなかないんだよ!!
チビぱんだちゃん、まだ6歳だよ!?
こんなことで時間取らせるの?」
川太
「わかりました、、あの、、
録音、、はい、、、お願いします。」
こんな感じで本題に入る前に
10分近くかかってしまった。
そしてもう私は、分かってしまった。
録音一つでこんなにごねる川太。
やましいことは1つや2つくらいでは
収まらないのだなと。