登場人物
高崎 舞香さん…39歳 今回の主人公。
パート勤めをしており、
4歳の娘(日菜ちゃん)がいる。
相談相手は実のお姉さん。(春香さん)
高崎 誠……40歳 舞香さんの夫。
ある日突然、好きな人がいるから
離婚したいと舞香さんに告げる。
相手は同じ部署の(藤沢美波)という女性。
鈴木紗栄子…土曜日の夕方、舞香さんたちの家に
突然やってきて色々暴露を始める。
児島ユリ…23歳。紗栄子の突撃で
誠との関係が判明した。
実家暮らし。その母親が強烈だが
誠はユリに100万円借りている?
和食料理屋の個室に
猫撫で声の美波と誠が二人きり。
胸がちくりと痛むこの気持ちが
どういう理由のものなのか
舞香さんは自分でもわからない。
美波
「梅酒にしようかなぁ。
ねぇまこちゃんー、どっちがいい?
どっちも選べなーい。」
誠
「梅酒、、でいいんじゃない?」
ひとまず誠も答えてみる。
美波
「わかったー、じゃあそれで。
あー、お腹すいたなーー。
ねぇ見て、マグロのステーキ
すっごい美味しそう。
天ぷらも、お刺身もいいなー。」
誠
「じゃあひとまず、、
お刺身の盛り合わせとか
そういう軽くつまめるものから
頼んでおこうか。」
美波「うん!!」
それから二人は、3品くらいを
注文する。
美波はずっと、デートのような
そんな感覚を楽しんでいる。
そして、注文が終わって
お店の方が再び部屋を出ていく気配のあと
美波
「ねぇ、この間はごめんね。」
誠
「ごめんねって?」
美波
「元奥さんに電話したり、
マコちゃんのこと会社で
呼び出しちゃったり・・・
私、怖くなっちゃったんだよ。
マコちゃんと絶対に結婚って
もう決めてるのに
それが出来なくなっちゃったのかなって
不安になってさ・・・
それが出来ないくらいなら
もうどうにでもなれって
ヤケになっちゃってさ・・・」
今だって誠は
前言撤回したわけではないが
この話を聞いている限り完全に美波は
二人の関係は修復したのだと
思い込んでいる。
っていうか、すでに(元奥さん)と
表現しているあたりも
怖すぎるんだが。
誠
「もう、あんなことしないでくれるかな・・
さすがにあんな一面見たら
怖くなるっていうか・・・」
美波
「もうしないよ、するわけない。
元奥さんにも今度謝っておく。」
いやそれは、このあとしっかりと
直接謝ってくれ。
舞香さんはいつだって
その場に突撃したい気持ちだが
逃げられないようにするには
料理も来て、ある程度ここで
誠と話が進んでから
今帰るわけにはいかない、
という状態にしなければならない。
こういう時は何事も、
準備と忍耐が必要。
美波
「それで、元奥さんから聞いたんだけど
マコちゃんさ、
もう子供作る気ないって、嘘だよね?
奥さんの手前、言ってみただけだよね?」
うわ、その話、、
二人きりの時に、不穏な空気になるのは困る。
誠
「いや、その話だけど、、、
俺は、、、、」
電話越しの舞香さん
(・・・・・)
誠
「俺さ、実は
子供が出来づらい
体質なんだよ」
電話越しの舞香さん
(・・・・・は?)
急にこの男は、何を言っとるんだ。
美波
「えっ、、、、だって、、」
誠
「ごめん、黙ってて・・・・
今の子は、不妊治療の末に・・・」
本当に、この男は次から次へと
ぽんぽんぽんぽん嘘が沸いてくる。
そう言えば、美波が諦めるとでも
思っているのだろうか。
そこに、飲み物が運ばれる気配がして
それでも美波は気にせず話している。
美波
「でも、、それでも頑張れば
大丈夫ってことよね。」
諦めないのかい。
なんだこの会話は。
電話越しの舞香さんは
携帯を耳に当てたまま、
お店の看板の前に立ち
ふーーーーと、長い息を吐く。
その時、前からもう一人の人物が現れた。
「あら、舞香さん。
ここで待ってくださってたの?」
舞香さんは、携帯を繋げたまま
顔を上げる。
舞香さん
「はい、お義母さん。
今日は、
よろしくお願いします。」
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